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高齢ドライバーによる判断ミスは減らせるのか。逆走してしまった実例から対策を考える #専門家のまとめ

高根英幸自動車ジャーナリスト
高齢者が起こす逆走事故には道路の構造にも問題がある(提供:イメージマート)

高齢ドライバーが起こす事故や危険行為が後を絶たない。ペダル踏み間違いだけでなく、最近は深刻な逆走事故や事件も起こっている。ここでは特に危険な高速道路の逆走について、最近の事故を中心に記事を俯瞰することでどう対策すべきか考えてみたい。

ココがポイント

逆走車が“猛スピード”で衝突し横転、中央分離帯に乗り上げる事故が(中略)運転席にいた80代くらいの男性「自分は逆走していない」
出典:FNNプライムオンライン 2024/9/11(水)

軽トラックが高速道路を逆走した。その距離なんと約33キロ。(中略)戦慄のドライブは、警察官による確保でようやく終わった
出典:弁護士JPニュース 2024/9/18(水)

「運転免許の返納」。各自治体や警察で推奨していますが、車が生活に必要な地域を中心に「返納したくてもできない」との声も
出典:弁護士ドットコムニュース 2024/9/28(土)

高速道路での逆走は(中略)高齢ドライバーだけによるものではない。65歳未満のドライバーによる『故意』の逆走も少なくないのである。
出典:JAFメイト 2022/07/17(日)

日本の高速道路のICは物理的に逆走可能な構造のものが多い。『損したくない』という感情が逆走を生んでいる可能性がある」
出典:プレジデントオンライン 2024/9/28(土)

エキスパートの補足・見解

「生活できない」と言われると強制的に免許を取り上げるのも難しいが、運転免許は権利ではなく許可なので「運転能力が無い」と判断されれば、取得時の試験で失格となったように免許を返納するのが本来の形だ。しかし当人たちにそうした意識は薄い。高齢ドライバーは足腰が弱っても「クルマさえあれば何とかなる」と思っている人も多いが、その考えが踏み間違いや逆走事故を引き起こすことに気付いていないのだ。

IC内に丁字路があり、片側は逆走になってしまう構造の道路は意外と多い。逆走予防の判断基準が甘いことも理由で、今後はより逆走しにくい構造に考慮していく必要がある。

目的のICを通り過ぎてしまった時、逆走してしまう理由の一つである「損をしたくない」という欲求の根底には「クルマには毎年多額のコストが掛かるので節約したい」という意識が常に働くことも影響しているだろう。つまり「取りやすいところから取る」という政府の自動車税制も、逆走を起こすきっかけになっているのだ。高齢者以外のドライバーも逆走してしまう可能性があるだけに、ICを通り過ぎてしまった時の対処法(1つ先まで行って係員に報告して乗り直す)を周知させていきたい。

自動車ジャーナリスト

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。芝浦工業大学機械工学部卒。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、様々なクルマの試乗、レース参戦を経験。現在は自動車情報サイトEFFECT(https://www.effectcars.com)を主宰するほか、ベストカー、クラシックミニマガジンのほか、ベストカーWeb、ITmediaビジネスオンラインなどに寄稿中。最新著作は「きちんと知りたい!電気自動車用パワーユニットの必須知識」。

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