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自動車メーカー各社がEVの目標削減へ。ペースダウンも、またいずれ需要は盛り上がるか #専門家のまとめ

高根英幸自動車ジャーナリスト
11月から生産されるeアクトロス600。写真ダイムラートラックス

2035年にエンジン車の販売を禁止するとしていたEUやドイツ、英国はその方針を撤回する姿勢をみせている。EVの販売ペースが思うように上がらず、中国製EVの台頭もあって欧州の自動車メーカーたちは不採算部門のEVを縮小させる方針を打ち出している。その一方で、ソニーやシャープといった日本の家電メーカーは近い将来のEV市場への進出を発表している。そんなEV関連の混沌とした動きを記事から追ってみた。

ココがポイント

欧州議会の(中略)「欧州人民党(EPP)」は、2035年までにエンジン車の新車販売を事実上禁止するEUの計画の修正を求める。
出典:ロイター 2024/7/3(水)

トヨタ自動車が2026年の電気自動車(EV)の世界生産台数を100万台程度とする(中略)26年までに150万台(中略)約3割縮小することになる。
出典:産経新聞 2024/9/6(金)

ボルボ・カーは9月4日、「2030年までに完全なEV(電気自動車)メーカーになる」という目標を断念したことを明らかにした。
出典:東洋経済オンライン 2024/09/19(木)

メルセデスは(中略)「2030年までに全車BEV化する」という計画(中略)の撤回を発表。
出典:WebCG 2024/03/21(木)

ダイムラー・トラックは、11月末から(中略)「メルセデス・ベンツ eアクトロス600」を独ヴェルト工場で量産すると発表した。
出典:日刊自動車新聞 2024/9/18 (水)

シャープは初のEVコンセプトモデル「LDK+」を公開(中略)ベンチシートが180度回転(中略)リビングルームのような空間(中略)会議にも利用できる
出典:SeizoTrend 2024/09/27(金)

エキスパートの補足・見解

EVの販売の伸びが鈍化し、中国製の安いEVにマーケットを奪われつつある中で欧州の自動車メーカーのEV戦略が方針転換に追われている。その一方で、商用車の電動化は騒音なども含めた環境対策で急速に進んでいる。今後はいかに強力な急速充電器を整備するかだが、ドイツの電力コストが急上昇しているなかで、上手く普及していけるかは不透明だ。一方でソニー以外にも日本の電機メーカーがEV進出に名乗りを挙げた。親会社の鴻海(フォックスコン)のプラットフォームを利用しているが、量産化するとなればシャープらしさはアイデアだけにとどまることはないだろう。中国からの攻勢が続くEV市場に、日本の自動車メーカーや電機メーカーがどう食い込んでいけるか、しばらくは目が離せそうにない。

自動車ジャーナリスト

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。芝浦工業大学機械工学部卒。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、様々なクルマの試乗、レース参戦を経験。現在は自動車情報サイトEFFECT(https://www.effectcars.com)を主宰するほか、ベストカー、クラシックミニマガジンのほか、ベストカーWeb、ITmediaビジネスオンラインなどに寄稿中。最新著作は「きちんと知りたい!電気自動車用パワーユニットの必須知識」。

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