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プロスペクトだった左腕が、4度目のトレードで最初の球団へ帰ってきた

宇根夏樹ベースボール・ライター
マイク・モンゴメリー Mar 24, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月15日、シカゴ・カブスにいたマイク・モンゴメリーが、マーティン・マルドナードと交換に、カンザスシティ・ロイヤルズへ移籍した。

 カブスがマルドナードを獲得した理由は、わかりやすい。故障した正捕手の穴埋めだ。ウィルソン・コントレラスが右足を痛め、7月16日から故障者リストに入る。

 一方、ロイヤルズは、前日にホーマー・ベイリーをオークランド・アスレティックスへ放出した。このトレードについては、「アスレティックスが仕掛けた、今夏の「マネー・ボール」。獲得したベテランに支払う金額は25万ドル未満」で書いた。モンゴメリーは、ベイリーが抜けたローテーションに加わる。

 ロイヤルズにとって、かつてのモンゴメリーは、将来を嘱望するプロスペクトだった。11年前、ロイヤルズはドラフト全体36位でモンゴメリーを指名した。2012年のオフにタンパベイ・レイズへ放出したので、7年ぶりに呼び戻したことになる。モンゴメリーがトレードされるのは、今回が4度目だ。2015年の開幕直前にレイズからシアトル・マリナーズへ移籍し、そこでメジャーデビューを果たしたモンゴメリーは、翌年の夏にマリナーズからカブスへ移った。

 ただ、カブスと違い、ロイヤルズは再建中だ。昨シーズンは104敗を喫し、今シーズンも、白星の倍近いペースで黒星を積み重ねている。今オフにFAの捕手を放出するのは当然ながら、その見返りに30歳の投手を獲得したことには、疑問も残る。モンゴメリーがFAになるのは2021年のオフだが、それまでに再建が完了する目処が立ちつつあるわけでもない。

 もしかすると、モンゴメリーがロイヤルズにいる期間は、そう長くないかもしれない。先発投手として結果を残せば、ロイヤルズからすると、プロスペクトを得るためのトレード要員になる。早ければ、今オフにトレードで放出される可能性もある。

 モンゴメリーとしても、希望していた先発マウンドに上がれるのだから、このトレードに否はないだろう。カブスでは、昨シーズンまで先発とリリーフの「スウィング・マン」を務め、今シーズンは一度も先発登板の機会を得られなかった。

 ちなみに、7年前のトレードで、モンゴメリーと入れ替わりにレイズからロイヤルズへ移ったウェイド・デービス(現コロラド・ロッキーズ)は、4年前にロイヤルズがワールドシリーズで優勝した瞬間、マウンドに立っていた。その翌年のワールドシリーズは、モンゴメリーが最後を締めくくった。さらに、その翌年、2人はカブスでチームメイトになった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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