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10月31日の決定会合での利上げは見送りか

久保田博幸金融アナリスト
(写真:イメージマート)

 日銀の植田和男総裁は23日、米ワシントンで「我々の金融正常化への取り組みはまだ始まったばかりだ」と述べた。日本の金融緩和策の一段の正常化の適切な規模とタイミングを考え出すことが自分にとって最重要の関心事だと述べ、さらなる利上げ実施の考えを示唆した。

 ただし、今回の日銀の金融政策決定会合では利上げは見送られるとの予想が多くなっている。

 18日にブルームバーグは「日本銀行は、海外経済や金融市場の先行きが不透明な中で、今月の金融政策決定会合で追加利上げを急ぐ必要性は乏しいとの認識を強めている。」と伝えた。

 ただし、「物価情勢は2%目標の実現に向けて着実に前進しており、その後の追加利上げの可能性は排除されない状況という。複数の関係者への取材で分かった」とも伝えていた。

「日銀は今月利上げの必要性乏しいとの認識、今後は排除せず-関係者」

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-18/SLJ94NT0AFB400

 今回、見送られるのは「海外経済や金融市場の先行きが」不透明というより、「日米の政治の行方が」不透明なため、ということではなかろうかと思う。

 日本での衆院選は予想よりもやや早まったが、11月にも実施かとの見方が強かった、さらに11月5日には米大統領選挙も控えている。

 衆議院選挙の結果、自民・公明両党の議席は過半数を割り込んだ。米国の大統領選挙はトランプ氏とハリス氏は接戦となっている。

 ドル円が153円台と円安となっており、その流れにブレーキを掛けるためにも、利上げの可能性もなくはない。しかし、政局が不安定なところでの政策変更は避けたいところではないかと思われる。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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