台風11号、韓国の統計史上もっとも強い勢力で上陸する恐れ
逆走して、迷走して、熱帯低気圧とくっついて――。奇異な動きで、人々を驚かせ続けてきた台風11号ですが、6日(火)にも観測史上もっとも強い勢力で韓国に上陸するおそれが出ています。
下の図は、日本の気象庁が発表した、台風11号(国際名:ヒンナムノー)の予想進路です。
先月28日に台風となった11号は、コンパクトかつ完璧な円形のフォルムで、日本の南の海上を通常の進行方向の真逆である、西へと進みました。沖縄付近では、熱帯低気圧に影響され、「藤原の効果」で迷走し、その後この熱帯低気圧を取り込んで巨大化しました。
こともあろうに、その海上付近は観測史上もっとも水温が高かったため、台風はなかなか急には衰えず。5日(月)夕方時点でも「強い台風」の勢力で、韓国に向かって進んでいます。
950hPaで上陸したら…
さて、この台風、気象庁の予想では6日(火)朝にも、韓国南岸に上陸する可能性が出ています。上陸直前の勢力は、中心気圧950hPa、最大風速は40メートルです。
一方で、韓国気象局の予想を見てみると、上陸時間はよく似ていますが、勢力が若干ながら強いようです。まず、韓国南部の済州島には中心気圧940~945hPaで接近し、その後、韓国本土に上陸前には945hPa、最大風速45メートルとなっています。
これまで韓国に上陸した最強の台風は何でしょうか。
台風上陸時に、地上で実際に観測された気圧で比較すると、1959年14号(国際名: サラ)が最強のようです。この時951.5hPaが記録されています。
その次が2003年の14号(国際名: マエミ)で、この時は954.0hPaが記録されました。いずれも甚大な災害を引き起こし、サラは669人、マエミは117人もの死者を出したといわれています。
つまり、もし予想通り中心気圧950hPa以下で上陸し、気圧が記録されれば、韓国にとって、統計史上例のない最強の台風になるといえそうです。
8月の記録的豪雨
韓国では8月、強烈な大雨に見舞われました。梅雨前線の影響で、1時間の降水量は141ミリと、観測史上1位の記録となったほか、6時間で8月の月間降水量に匹敵する300ミリの雨が降りました。
半地下の住宅に水が流れ込み、複数人が死亡、高級外車1,900台を含む約6,000台が水没し、損害保険会社が青ざめたと伝えられています。
日本同様、お隣韓国もまた、夏からの大雨に悩まされているようです。
追記(9/7):11号は6日午前5時頃に韓国南部に上陸した。朝鮮日報によれば、上陸時の推定中心気圧は955hPa、実際に観測された気圧値は、プサンで955.9hPaだった。結果、11号は韓国に上陸した台風としては、サラ、マエミに続く3番目に強い台風となった。