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羽生善治竜王(1989年当時19歳)に次いで藤井聡太三冠(現在19歳)は2人目の十代竜王となるか?

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 1989年。羽生善治六段(現九段)は竜王戦七番勝負に登場。島朗竜王(当時26歳)を4勝3敗1持将棋で破り、竜王位を獲得しました。

 最終第8局が終わったのは12月27日。1970年9月27日生まれの羽生新竜王はこのとき、19歳3か月0日でした。十代でのタイトル獲得は、将棋史上初。羽生新竜王の誕生の快挙は社会的な関心を呼び、大きなニュースとなりました。

 それからほどなくして、1990年、18歳の屋敷伸之新棋聖が誕生。タイトル獲得最年少記録は更新されました。

 そして2020年。17歳の藤井聡太新棋聖が誕生しています。

 初タイトル獲得の年少記録としては、羽生新竜王は3位となりました。しかし一方で、史上最年少竜王の記録は破られていません。

 2021年の現在。王位、叡王、棋聖をあわせもつ藤井聡太三冠が竜王位に挑戦しています。

 2002年7月19日生まれの藤井三冠が、仮に今期、最短4連勝でシリーズを制すると、第4局終了の11月13日時点で19歳3か月25日です。これは羽生現九段の記録にわずかに及びません。

 藤井三冠ですら抜けないとなれば、羽生現九段の最年少竜王の記録はこの先も長く残り続けることでしょう。

 竜王戦史上2位の最年少記録は、2004年に誕生した渡辺明新竜王(当時20歳8か月5日)です。

 竜王位連続5期、または通算7期という厳しい条件をクリアして永世竜王の称号を得ているのは、渡辺、羽生の2人しかいません。

 第2期、羽生竜王誕生。第17期、渡辺竜王誕生。そして第34期、藤井三冠が竜王挑戦。こうしてみると将棋界には周期的に大棋士が現れていることがわかります。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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