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藤井聡太七段(17)が王将戦二次予選決勝進出 9月1日に谷川浩司九段(57)と対戦

松本博文将棋ライター
2008年、谷川浩司九段(記事中の写真撮影・画像作成:筆者)

【前記事】

王将戦二次予選進行中 8月26日に中村太地七段(31)-藤井聡太七段(17)戦

https://news.yahoo.co.jp/byline/matsumotohirofumi/20190825-00139733/

 8月26日、東京・将棋会館で王将戦二次予選・中村太地七段(31歳)-藤井聡太(17歳)戦がおこなわれました。終了時刻は17時30分。結果は91手で藤井七段の勝ちとなりました。

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 藤井七段は二次予選決勝に進出。9月1日、リーグ入りをかけて、谷川浩司九段(57)と対戦します。

藤井七段、快勝で難敵を降す

 振り駒の結果、先手番を得たのは藤井七段。戦形は角換わり腰掛銀となります。後手番の中村七段から動いて、戦いが始まりました。

 中村七段は銀を捨てる強手から飛車を奪います。中盤の折衝で、藤井七段が角銀桂、中村七段が飛香を得る交換となりました。

 中村七段の攻めが一段落した後で、藤井七段は2枚の角を敵陣に打ち込みます。これが急所にヒットする形となり、藤井七段がリードを奪いました。

 中村七段は強力な龍(成り飛車)を主軸に藤井陣の攻略をはかろうとしますが、金銀5枚の要塞と化した堅陣は、容易には崩れません。

 最後は中村七段の粘りを許さず、藤井七段が着実な寄せを見せました。

ついに谷川九段との対戦実現

2008年、谷川浩司九段
2008年、谷川浩司九段

 谷川浩司九段は言うまでもなく、将棋史に名を残す超一流棋士です。

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 通算勝数は1324勝で、現在歴代3位タイ。次戦では単独3位の記録がかかります。

 タイトル獲得数は27期。王将位は4期。名人は5期で、17世名人資格者でもあります。

 2010年11月。小学2年の藤井少年は「将棋の日」のイベントで、谷川九段に二枚落ちで挑戦しました。谷川九段が3人の下位者を相手に3局同時に指す指導対局です。手合は飛角落ちでした。

 藤井少年は健闘したものの、最後は谷川九段の玉が藤井陣に入り込み、つかまらなくなくなりました。谷川九段は、そこで優しく引き分けを提案します。しかし藤井少年は、いやだと言って、大泣きをしたそうです。

「負けて泣く子は見たことがあるんですが、引き分けを提案されて泣く子は、見たことがない」

 後年、藤井少年の師匠となる杉本昌隆現八段は、当時のことをそう回想していました。

 やがて藤井少年は、プロの四段になった途端に大活躍を始めます。

 佐藤天彦名人、羽生善治竜王らを破って2018年2月には全棋士参加棋戦の朝日杯で初優勝を果たします。その時、谷川九段は以下のようにコメントしました。

「全棋士参加の棋戦で優勝するのはまだ難しいと考えていました。私たちの予想をはるかに上回るスピードで、強くなっているようです。名人と竜王を破っての優勝は見事ですが、ただし、20代、30代の棋士に対しては、『君たち、悔しくないのか』と言いたい気持ちもあります」

 「君たち、悔しくないのか」というフレーズは、大きな反響を呼びました。

 ついに実現した、谷川九段-藤井七段戦。大きな注目を集めることは、間違いないでしょう。

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将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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