ウクライナ軍の中国DJI製監視ドローンがロシア軍の中国DJI製監視ドローンに上空で体当たりして撃破
上空でのドローン同士の戦いは高い方にいる方が優位
2023年5月にウクライナ軍の監視ドローンで中国DJI社製の「Mavic」が、ウクライナのドネツク上空で、ロシア軍の監視ドローンで中国DJI社製の「Matrice 300 RTK」を発見。ウクライナ軍の監視ドローン「Mavic」が上からロシア軍の監視ドローン「Matrice 300 RTK」に体当たりして落下させていた。
2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生品ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。そして両軍でドローンの撃墜が繰り返されている。
上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル(soft kill)"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破させる、いわゆる"ハードキル(hard kill)"がある。両方とも地上にいる兵士が上空のドローンを迎撃している。通常は地上にいる兵士が迎撃して破壊したり機能停止させたりしている。
だが、たまにこのように上空で監視ドローンが体当たりしてドローンを撃墜しておりFPV(ファースト・パーソン・ビュー)で動画を公開している。
「Matrice 300 RTK」よりも「Mavic」の方が強いというわけではない。ドローンでの体当たりの勝負は上を飛んでいる方が優位である。ドローンは地上の様子を偵察するためにカメラを搭載しているが、地上(つまり下)しか見ていない。ドローンの上部にはカメラがないため、自分よりも上にいるドローンなどには気が付かない。そのため少しでも上にいる方が優位で、上から体当たりして落下させることができる。ロシア軍が使用していた「Matrice 300 RTK」が、ウクライナ軍の「Mavic」よりも上にいたら、同じように上から体当たりされて落下してしまっただろう。上空でのドローン同士の戦いは高い方にいる方が優位である。
ウクライナ紛争では、監視・偵察目的の民生品ドローンに小型爆弾や手りゅう弾を搭載して敵軍を発見したら爆弾を落として攻撃も行っている。監視・偵察ドローンは上空からの目として戦場では敵軍の動向を監視するために24時間常に飛行している。そして敵軍を探知したらミサイルで攻撃を行ったり、ドローンから爆弾を投下したりしている。そのため戦場では上空を飛行している監視・偵察ドローンや小型の民生品ドローンは敵軍に探知されたらすぐに機能停止させられたり、破壊されたりしてしまう。地上の兵士が探知できなかったり、上空で監視ドローンが敵軍のドローンを見つけた場合は、このように上から体当たりして撃墜してしまった方が効率的である。
敵軍のドローンは監視用であれ、攻撃用であれ発見したらすぐに破壊するか機能停止させた方が良い。上空で敵軍のドローンを見つけたら、敵軍のドローンの上に回って不意討ちして落下させる方法もある。ただし、上空で体当たりして自分のドローンも一緒に壊れてしまったり落下してしまうこともある。
▼ウクライナ軍の監視ドローン「Mavic」がロシア軍の監視ドローン「Matrice 300 RTK」を上空で体当たりして落下(2023年5月)
▼ウクライナ軍のドローンがロシア軍のドローンを上空で撃破(2022年11月)
▼ウクライナ軍の監視ドローンがロシア軍の監視ドローンを上空で体当たりして落下(2023年4月)