20代前半の失業率は4.7%…若年層の労働・就職状況をさぐる
・若年層の失業率は全体と比べて高め。直近2017年では全体で2.8%だが15~19歳では4.0%。
・若年層の雇用者のうち非正規雇用の割合は15~24歳(在学者を除く)で27.2%、25~34歳で25.9%。
・15~24歳(在学者を除く)の非正規雇用の割合は2014年以降漸減。25~34歳も2015年以降減少中。
リーマンショックで悪化、その後は改善にむかう
内閣府は2018年6月に主に若年層に関する公的資料を取りまとめた白書「子供・若者白書」の最新版を発表した。その白書を基に、先進諸国共通の雇用市場の課題でもある若年層の失業問題の実情を探る。
高齢社会化や定年の延長化、さらには技術の発達に伴う労働工程の効率化により、若年層の労働条件・就職環境が悪化するのは先進国共通の社会問題。この現象は「先進国病」の一つであるとも言われている。日本でも他の先進諸国同様に若年層の失業率は高く、日本全体の失業率の平均と比べて高水準を維持している。
バブル崩壊後は景気悪化に伴い失業率は増加。その後21世紀に入ってからは派遣などの非正規雇用の促進化もあり、一時的に失業率は改善の動きを見せている。そして景気の回復も大きな改善要因だった。ところが2007年夏以降の金融危機、さらにはリーマンショックに伴う景気悪化で、失業率も上昇していく。景気動向に左右されやすい(勤続年数が短いことや、非正規雇用率が高いことから、解雇されやすい。さらに新規雇用枠増減の影響を受けやすい)若年層ほど、急激に失業率の値を積み増しているのが分かる。
昨今では景況感の回復基調に伴う労働市場の変化もあり、全体平均とともに若年層の失業率も低下傾向にある。特に15~19歳における値が急速に低下しているのは喜ばしい限り。これは高等専門学校、専修学校などの学生が即戦力として企業から注目を集めているのが一因。
15~19歳は直近の2017年に限れば前年から0.1%ポイント増加してしまっているが、これは2016年における前年比1.2%ポイントもの減少に伴う反動が生じたのだろう。しかし過去と比べれば極めて低い値には違いない。もっとも全体値の2.8%との格差が引き続き大きいままであることも忘れてはならない。
増加から減少に転じた若年層の非正規雇用率
失業率同様に若年層間で問題視されることの多い「雇用体系」、具体的には正規雇用・非正規雇用の相違(「正規の職員・従業員」が正規雇用、「『正規の職員・従業員』以外」は非正規雇用を意味する)についてだが、若年層においては25~34歳層で2007年までは一定の上昇幅で、それ以降は緩やかな漸増状態にあったが、2014年をピークに減少に転じた。一方、15~24歳(在学者を除く)層では2005年の34.3%をピークとし、多少の落ち込みを経て3割前後を行き来したが、この数年ほどは減少傾向となり、2009年に計上した29.8%以来でははじめて、2016年に3割を切る形となり、それは2017年でも続いている。
25~34歳層の値が一時的に増加の動きを示したのは、世帯に入り出産を経た女性が、パートやアルバイトなどで家計を支える状態にあることが増えたからだと考えられる(いわゆる兼業主婦)。大元の子供・若者白書に掲載されている「『正規の職員・従業員』以外の雇用者比率(在学者を除く)」について男女別で最新値である2017年分を確認すると、男性は15.3%なのに対し、女性は38.9%にも達している。男女間の就労事情の違いは、他の調査結果からも確認ができる。例えば次のグラフにあるように、国勢調査の結果を分析してもそれが分かる。
進む社会構造の高齢化の中で、今の若年層にはこれまで以上に大きな負荷がかかっている。その負荷を支える資力のもととなる有効な労働機会を若年層に優先して与えることも、高齢化社会の問題解消への1ステップと見なしてよいはずだ。
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