日本の原油輸入、中東依存率は95.1% 経済産業省の公開資料で原油輸入元を検証
エネルギー源の一つとして日常生活の維持には欠かせない原油。日本はどこから輸入しているのか、その実情を経済産業省の公開資料「石油統計」から確認する。
経済産業省では毎月1回月次分、毎年1回年次分の、日本における原油の輸入元、原油を用いてどのような二次商品を作ったか(ガソリンやナフサ、アスファルトなど)を石油統計として公開している。記事執筆時点では年次ベースのものは2023年のものが最新値なので、これを用いてグラフを作成し実情を確認する。
石油統計では具体的な輸入量も確認できるので、まずは輸入元別の輸入量を棒グラフ化する。
最大の輸入元はサウジアラビアで、2023年の1年間だけで日本は5966万キロリットルもの原油を輸入している。日本の国産原油産出量は年間で50万キロリットル前後。サウジアラビア1国からだけで、日本国産原油の100倍以上もの原油を輸入している計算になる。
次いで多いのはUAE(アラブ首長国連邦)、クウェート、カタール、アメリカ合衆国、エクアドル。中東地域の国名が複数顔を見せる。
これを円グラフにすると次の形となる。中東地域に大きく依存している現状が把握できる。
赤系統色で着色したのが中東地域。オイルショックなどの影響でリスク分散の必要性が認識されたことから、中東地域以外からの輸入が積極的に推し進められ、1987年度には日本の石油における中東依存度は68%程度にまで減少していた。
しかしその後、中東地域以外の産油国の多くが、経済発展とともに自国の原油を消費し始め、輸出ができなくなってしまう事態が生じている。石油統計の資料を見る限りでは、最近では例えば中国がその傾向を見せている。手元にある過去の分も含めたデータでは2011年以降の年次値が確認できるが、年々中国からの輸入量は減少し、2013年ではついにゼロとなり、それは今回年の2023年でも続いている。必然的に中東依存度は再び上昇する。直近の中東依存度は95.1%。
社会を維持するために欠かせないエネルギー源の一つである原油を過不足なく常時確保し、国内に供給し続けるためには、産油国への経済協力をはじめとした国際協調の推進が欠かせない。そしてそれとともに、海路の安全性に関する重要性の認識とその維持への注力、輸入先の分散化が求められよう。
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