今月の住宅ローン金利情報(2021年2月) フラット35と全期間固定が上げ
2021年2月の住宅ローン金利は、変動金利は変わらず、固定10年もおおむね変わらず、全期間固定(35年)が上げ、となりました。
*コラム内の住宅ローン金利は、一般団体信用生命保険(死亡・高度障害時)の保障コストを含む表示で統一しています。
■2021年2月の住宅ローン金利サマリー
今月の住宅ローン金利の全体的な傾向は、次の通りです。
・変動金利は動きなし
・固定10年はおおむね変わらず
・フラット35の最多金利上げ
・全期間固定(35年)も多くが上げ
■住宅ローンに関わる日銀の金融政策に変更なし
1月20、21日に行われた日銀の金融政策決定会合で、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き量的・質的金融緩和政策の継続が決定されました。
これにより、住宅ローンへの影響としては、引き続き、「無担保コールレート(オーバーナイト物)」がマイナス0.1%、長期金利の指標になる10年国債の金利が0%程度(±0.2%)に誘導されます。
注:金融機関が独自に優遇金利を変更するなど、適用金利が変動する可能性はあります。
■長期金利の動きは?
参考まで、10年固定や全期間固定に影響する10年国債の月末時点の利回りの推移は下記の通り。
<10年国債の利回り(月末時点)>
R2.3.31 0.031
R2.4.30 -0.036
R2.5.29 0.009
R2.6.30 0.042
R2.7.31 0.018
R2.8.31 0.056
R2.9.30 0.027
R2.10.30 0.041
R2.11.30 0.034
R2.12.30 0.035
R3.01.29 0.056
(財務省データより)
1月末は12月末に比べ少し上がっており、この影響で、全期間固定(35年)の金利が上がりました。10年固定は金融機関の戦略などもあってか、上げたのは一部にとどまり、多くが変わらず、一部下げたところもありました。
フラット35については、金利が決まるのは前月中旬頃ですが、1月中旬は0.033%(1月15日)で、12月中旬の0.012%(12月15日)と比べ上がったことから、上昇したと考えられます。
■「新規で借りる」住宅ローン
ここからは、実際の商品の金利を見ていきます。以下は、2021年2月現在の金利タイプごとに金利が低い注目商品をピックアップしたものです。
実際には、金利だけでなく、総返済額や団体信用生命保険(団信)など付帯サービスで比較して、最終的に選択するようにしましょう。団信とは、契約者が万が一、死亡・高度障害になったときに、残債が保険で支払われる保障です。これに、就業不能時やがんなど特定疾病、自然災害時の特約などが付いている住宅ローンもあり、特約付きは無料と有料(金利上乗せまたは別途保険料)があります。
なお、コラム内では金利のほか、保証料と事務手数料、無料で特別な団信がついている場合について併記しています。
まずは変動金利。ジャパンネット銀行が2019年7月末に参入以来、最低金利を維持し続けています。
<変動金利>
・ジャパンネット銀行「住宅ローン」0.380%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん先進医療給付金付き団信無料(51歳未満)
・Yahoo! JAPAN「ヤフーの住宅ローン」0.380%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん先進医療給付金付き団信無料(51歳未満)*商品はジャパンネット銀行のもの(キャッシュバックあり)
・auじぶん銀行「住宅ローン全期間引下げプラン変動」0.410%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん50%保障+入院保障団信無料
・SBIマネープラザ「ミスター住宅ローンREAL<通期引下げプラン>」0.410%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*全疾病保障団信無料
続いて10年固定。数カ月間、auじぶん銀行とジャパンネット銀行が最低金利競争を繰り広げていましたが、12月についに決着がついたようで、1月もジャパンネット銀行が最低金利を維持。
<10年固定>
・ジャパンネット銀行「住宅ローン固定10年」0.499%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん先進医療給付金付き団信無料(51歳未満)
・Yahoo! JAPAN「ヤフーの住宅ローン」0.499%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん先進医療給付金付き団信無料(51歳未満)*商品はジャパンネット銀行のもの(キャッシュバックあり)
・auじぶん銀行「住宅ローン当初期間引下げプラン」0.525%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん50%保障団信無料
全期間固定(35年)は、全体に上がりました。フラット35も最多金利で0.03%上げました。フラット35のうち、物件が所定の条件をクリアすれば、0.25%の金利優遇を10年間または5年間受けられるのが「フラット35S(Aプラン、Bプラン)」です。比較しやすいよう、一般的な団信に加入した場合の金利表示で統一しています。
<全期間固定>(自己資金50%以上)
・ARUHI「ARUHIスーパーフラット5S【自己資金50%以上】」0.840%(保証型、団信0.280%含む。Aプランは10年、Bプランは5年経過後は1.090%)《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
<全期間固定>(自己資金40%以上)
・ARUHI「ARUHIスーパーフラット6S【自己資金40%以上】」0.870%(保証型、団信0.280%含む。Aプランは10年、Bプランは5年経過後は1.120%)《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
<全期間固定>(自己資金20%以上)
・住信SBIネット銀行「フラット35S(保証型)【自己資金20%以上】」0.910%(Aプランは10年、Bプランは5年経過後は1.160%)《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%、団信無料》*全疾病保障団信無料
・ARUHI「ARUHIスーパーフラット8S【自己資金20%以上】」0.970%(保証型、団信0.280%含む。Aプランは10年、Bプランは5年経過後は1.220%)《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
<全期間固定>(自己資金10%以上)
・住信SBIネット銀行「フラット35S(保証型)【自己資金10%以上】」0.970%(Aプランは10年、Bプランは5年経過後は1.220%)《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%、団信無料》*全疾病保障団信無料
・ARUHI「ARUHIスーパーフラット9S【自己資金10%以上】」1.020%(保証型、団信0.280%含む。Aプランは10年、Bプランは5年経過後は1.270%)《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
【参照】フラット35の金利表示に注意!
■借り換えるときの住宅ローン
借り換えをする場合の住宅ローンの金利も見ておきましょう。
まず、変動金利ですが、新規借り入れ同様、ジャパンネット銀行が最低金利を維持しています。
<変動金利>
・ジャパンネット銀行「住宅ローン(借り換え)」0.380%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん先進医療給付金付き団信無料(51歳未満)
・Yahoo! JAPAN「ヤフーの住宅ローン」0.380%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん先進医療給付金付き団信無料(51歳未満)*商品はジャパンネット銀行のもの(キャッシュバックあり)
・auじぶん銀行「住宅ローン全期間引下げプラン(借り換え)」0.410%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん50%保障+入院保障団信無料
・住信SBIネット銀行「ネット専用全疾病保障付住宅ローン(借り換え)<通期引下げプラン> 変動」0.410%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*全疾病保障無料
・SBIマネープラザ「ミスター住宅ローンREAL(借り換え)<通期引下げプラン>」0.410%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*全疾病保障無料
続いて10年固定。auじぶん銀行とジャパンネット銀行の最低金利バトルは、12月に並んだのち、1月にジャパンネット銀行が大きく下げたことで、いったんの決着がついた感があります。auじぶん銀行はグループ内のサービス利用による割引など、別の戦略に出た感があります。
<10年固定>
・ジャパンネット銀行「住宅ローン(借り換え)固定10年」0.499%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん先進医療給付金付き団信無料(51歳未満)
・Yahoo! JAPAN「ヤフーの住宅ローン(借り換え)固定10年」0.499%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん先進医療給付金付き団信無料(51歳未満)*商品はジャパンネット銀行のもの(キャッシュバックあり)
・auじぶん銀行「住宅ローン当初期間引下げプラン(借り換え)固定10年」0.525%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん50%保障団信無料
借り換えで全期間固定を利用する際には、住宅ローンの残存期間によって選ぶべき住宅ローンは異なります。ちなみに、借り換えで利用できるフラット35もありますが、新規のときのような一定期間の金利優遇(「フラット35S」)はありません。
<全期間固定>(例:残存31~35年)
・みずほ銀行「みずほネット借り換え住宅ローン(全期間固定プラン)」(31~35年)1.090~1.190%《保証料あり、電子契約手数料5,500円、固定金利手数料11,000円、保証事務手数料33,000円》
・常陽銀行「めぶき de かりかえ(ネット申込専用住宅ローン)全期間完全固定(~35年)」1.100%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん団信無料
<全期間固定>(例:残存26~30年)
・三井住友信託銀行「住宅ローン<リレープランフレックス>(借り換え)【当初期間金利引下げ】保証料型」1.020%《保証料あり、保証事務手数料33,000円》
・みずほ銀行「みずほネット借り換え住宅ローン(全期間固定プラン)」(26~30年)1.070~1.170%《保証料あり、電子契約手数料5,500円、固定金利手数料11,000円、保証事務手数料33,000円》
・常陽銀行「めぶき de かりかえ(ネット申込専用住宅ローン)全期間完全固定(~35年)」1.100%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん団信無料
<全期間固定>(例:残存21~25年)
・三井住友信託銀行「住宅ローン<リレープランフレックス>(借り換え)【当初期間金利引下げ】保証料型」1.020%《保証料あり、保証事務手数料33,000円》
・みずほ銀行「みずほネット借り換え住宅ローン(全期間固定プラン)」(21~25年)1.040~1.140%《保証料あり、電子契約手数料5,500円、固定金利手数料11,000円、保証事務手数料33,000円》
・常陽銀行「めぶき de かりかえ(ネット申込専用住宅ローン)全期間完全固定(~35年)」1.100%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん団信無料
・新生銀行「パワースマート住宅ローン(借り換え)全期間固定(21~25年)」1.100%《保証料なし、事務手数料=55,000円》
<全期間固定>(例:残存16~20年)
・りそな銀行「りそな借りかえローン WEB申込限定プラン(金利プラン当初型) 固定20年」0.945%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%、保証事務手数料33,000円》
・新生銀行「パワースマート住宅ローン(借り換え) 固定20年」0.950%《保証料なし、事務手数料=55,000円》
借り換えの場合は、残っている期間と選ぶ金利タイプによって有利な商品が異なりますので、きちんと試算をして選択しましょう。
なお、借り換えは通常、現在借りている金融機関ではできないのですが、条件によっては同じ金融機関でより有利な金利の住宅ローンに借り換えることができる場合もあります(要交渉)。他の金融機関への借り換えだけでなく、今の金融機関での借り換え(条件変更)も候補として検討するといいでしょう。
■複数の商品で試算・比較を!
注目の住宅ローンとその金利を見てきましたが、紹介したのは金利面に重点を置いた商品です。金利だけでは住宅ローンを選ぶことはできません。最近は団信の保障内容も注目されるようになってきました。
また、金利を含む総返済額のほか、保証料や事務手数料、団信のコストも含めたトータルコストで比較することも重要。新規で借りる場合も、借り換えの場合も、複数を比較してより有利な商品を選ぶようにしましょう。
コロナ禍による家計への影響が、今後、本格化する可能性があります。住宅ローンの見直しをはじめ、思い切った家計見直しなど、できることはやっておきたいものですね。
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