Yahoo!ニュース

亀田和毅VSカシメロ戦が浮上も消滅 フェザー級転向の経緯とは

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

TB(トレジャーボクシング)プロモーションが、10月12日、東京・有明アリーナで開催される「Treasure Boxing 4」で、元世界3階級制覇王者のジョンリエル・カシメロ(フィリピン)と元IBF世界スーパーバンタム級王者小國以載(角海老宝石)による同級10回戦を行うと発表した。

TBプロモーションの代表を務める元WBO世界スーパーフェザー級王者の伊藤雅雪氏は、自身のYouTubeでカシメロとの対戦交渉の裏側について語った。

カシメロの対戦候補は3名いた

対戦者候補はカシメロの日本での知名度を高めるため、国内ボクサーから探していたようだ。

名前が挙がったのは3名、小國と、元WBCフライ級王者の比嘉大吾、そして元世界2階級制覇王者の亀田和毅だ。

比嘉は階級が違うため候補として外れ、最終的には二人に絞られた。

伊藤氏は和毅と何度か連絡を取り合っていたようで、和毅もカシメロとの対戦に乗り気だったようだ。しかし、日程が差し迫る中、お互いの条件がまとまらず、最終的に小國に決まった。

伊藤氏は「本人はやりたがっていたが、時間が足りなかった。フェザー級で活躍してほしい」とコメントしている。

その後、和毅も自身のYouTubeで心境を語った。直前まで話し合いを重ね、本人もやる気だっただけに落胆も大きいようだった。

フェザー級への転向

和毅は記者会見で、10月7日、東京・大田区総合体育館で開催される「3150FIGHT Vol7」でのフェザー級転向を発表した。

しかし、その決断には苦悩もあったようだ。

2021年12月にスーパーバンタム級王座次期挑戦者決定戦に勝利し、挑戦権を保持し続けていた。当時王者だったムロジョン・アフマダリエフ選手との試合を見据えていたが、アフマダリエフが現王者のタパレスに敗戦。

タパレスをターゲット変え、再度交渉を試みていた。ようやくWBAから対戦の承認が降り対戦がまとまりかけたが、直後にキャンセルとなるアクシデントに見舞われた。

この後、新しいチャンスを求め階級を上げる決断をした。今後はフェザー級で王者を目指していくようだ。

井上尚弥との対戦について

4階級制覇王者で世界スーパーバンタム級2団体統一王者の井上尚弥との対戦にも意欲的な姿勢を見せた和毅。

会見では「当時(バンタム級だった)井上チャンピオンがスーパーバンタムに上げてくると聞いて、1%でも(対戦の)可能性あるならと思って、スーパーバンタム級での世界王座獲得を目指していた」と語った。

もし和毅がフェザー級で世界王者となれば、階級を上げてきた井上を迎え撃つ形になる。日本選手同士の対戦となれば大いに盛り上がるだろう。

年齢も32歳、プロでは43戦を戦い抜いてきた。以前本人に取材した際には、非常にストイックな印象を受けた。トレーニングはもちろん体のメンテナンスでも、ストレッチに一日2時間もかける徹底ぶりだ。

今回のアクシデントについて、記者から心境を聞かれると「もう終わったことを言うても仕方ないんで、今はもう次に向けてフェザー級の体を作って三階級制覇に向けて頑張るだけ」と毅然とした対応を見せた。

まずは、目標とする三階級制覇に向けて、そして日本中が注目するビッグマッチに向けて、突き進んでほしい。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

木村悠の最近の記事