「分かってないよ」でブレイク中の“研究者×音楽家”。21世紀生まれのソロアーティストWurtSとは?
WurtSの「分かってないよ」が注目を集めている。
WurtSとは、2021年に本格的に活動をスタートしたソロアーティスト。作詞・作曲・編曲に加えて映像やデザインもセルフプロデュースで手掛けるマルチクリエイターだ。YouTubeやTikTokへの楽曲発表を始めた当初は全くの無名な存在だったが、今年1月にTikTokにサビのみを投稿したオリジナル曲「分かってないよ」が投稿から約1ヶ月で100万回再生を超える反響を呼び、SNSを通じて一気にファンを増やしていった。
https://www.tiktok.com/@nia_n_/video/6917494743429631234?lang=ja-JP
(TikTok「分かってないよ」動画)
2020年11月に自主リリースした作品『資本主義の椅子』も注目を集め、今年3月17日には自身のレーベル「W’s Project」よりEP『檸檬の日々』をリリース。表題曲「檸檬の日々」は切れ味鋭いギターのカッティングと四つ打ちのビートが耳を掴むキャッチーな一曲だ。
そして5月5日には「分かってないよ」を配信リリース。LINE MUSICのウィークリーランキング2位を記録、Billboard JAPANが発表する急上昇中の新人アーティストを抽出したチャート「Heatseekers Songs」でも5月26日付で2位にチャートイン、その後も2位、3位、2位と上位へのランクインを続けている。
楽曲の魅力は、一度聴くと耳から離れないメロディと気だるい歌声、疾走感あるオルタナティブ・ロックを今の時代にアップデートしたサウンドのセンスにある。恋人同士の姿を2画面形式で描いた縦型のミュージックビデオのアイディアも秀逸だ。
6月9日には同曲を収録した2ndEP『MAGICAL SOUP』をリリース。話題を呼んだ「分かってないよ」以外にも、エネルギッシュなバンドサウンドに乗せて“徐々に理性が崩壊していく”ユニークな歌詞を綴った「魔法のスープ」や、あえて固定電話の音を使った洒脱なエレクトロポップの「Talking Box」など、曲調の幅広さ、アイディアの多彩さも魅力だ。
そして、とても興味深いのがWurtSのアーティストとしてのスタンスだ。
ツイッターのバイオグラフィー欄には「研究者×音楽家」とある。そして、現時点での固定ツイートには「2021年も中盤に差し掛かり、改めてWurtSが何者なのかを知って頂きたいと思います」と、以下のように書かれている。
とあり、アーティストとしての音楽活動が、大学生でもあるWurtSの“個人研究”の一環であることが示されている。
TOKYO FM「RADIO DRAGON -NEXT-」(6月25日放送)にゲスト出演した際のインタビューによれば、影響を受けたアーティストはレディ・ガガやThe 1975のマシュー・ヒーリーなど。高校時代から海外のポップ・ミュージックやロック、ヒップホップを幅広く聴いてきたルーツを持ち、音楽に深く傾倒しつつもそれだけにとどまらないメンタリティや戦略性を語っていた。また、「分かってないよ」もTikTokを意識して作ったということを明かしている。
また、前出のツイートでは自身の目標やビジョンについて
と記している。
2021年下半期のブレイク候補筆頭格として存在感を増しつつあるWurtS。TikTokをきっかけにしたヒットが増える中、アーティストには一曲の話題性やバズだけに終わらない多面的な魅力が求められるようになっているが、WurtSにもそうした幅広い才能の片鱗を感じる。