ホロコースト生存者、子供向け番組で子供たちに経験を語る:記憶のデジタル化と継承
第2次大戦時のナチスドイツがユダヤ人や政治犯、ロマなど約600万人を殺害したホロコースト。戦後70年以上が経過し、ホロコーストの生存者の高齢化も進んできた。ホロコーストを経験した、現在の生存者も当時は子供だった。生存者の記憶が鮮明なうちに、当時の証言や記憶、思い出を動画などに撮影してデジタル化して保存し、歴史の証言集として収集しようとする活動が欧米やイスラエルのユダヤ団体やホロコースト博物館などを中心に行われている。
編集されたテキスト(文字)で残すよりも効果的で、直接、生存者が動画を通じて語っているので説得力もインパクトもある。また動画はネットを通じて世界中の人がアクセスすることができる。多くの証言集の動画は生存者が淡々と当時の辛い思い出やナチスの蛮行などを語るものや、当時の収容所やゲットーなどの写真など重たい内容がほとんどだ。
そして子供向け番組「HiHo Kids」が「Kids Meet a Holocaust Survivor(子供たちがホロコースト生存者に会いに行く)」という動画を2018年10月に提供開始した。1か月で126万回以上再生されている。
▼Kids Meet a Holocaust Survivor (HiHo Kids)
この動画ではHenry Friedman氏という1928年にポーランドで生まれた90歳のユダヤ人男性が、子供たちからホロコーストについての様々な質問に答えている。Henry Friedman氏は1942年にウクライナ人のキリスト教徒の家に匿われていたために殺害されずに生き延びることができた。
欧米やイスラエルのホロコースト博物館では、生存者が子供たちを前にして当時の経験を語ることはよくある。だがホロコーストの記憶のデジタル化を目的とした動画で生存者が子供たちからのホロコーストに関する素朴な質問に回答していくのは珍しい。