アウシュビッツ絶滅収容所、約4万人の写真をデジタル化して保存し後世へ
男性が約3万枚で、女性は7000枚程度 デジタル化された写真を毎日Xで世界に発信
アウシュビッツ絶滅収容所博物館の公式Xで、博物館で所有している囚人たちの写真を紹介していた。アウシュビッツ絶滅収容所博物館には、38,916枚の囚人の写真をデジタル化して保存しており、男性の囚人が31,969枚で、女性が6,947枚であると伝えていた。また同博物館によると、現在保管されている写真の多くは1941年から1943年の間に撮影されたもので「これらの写真は人間が囚人番号になってしまい、人間性を失ったことを証明する重要なドキュメントです。しかし、番号だけで管理されるようになってしまい名前を失っても、このようにみんなそれぞれに顔があります」と投稿していた。
アウシュビッツ絶滅収容所博物館のXでは、毎日、アウシュビッツ絶滅収容所で犠牲になった方々の誕生日や殺害された日に、彼らの写真とともに生まれた場所、いつ殺害されたかをポストしている。110万人以上が殺害されたアウシュビッツ絶滅収容所なので、毎日誰かしらの誕生日である。ナチスドイツではヨーロッパ中のユダヤ人を絶滅することを政策として掲げていたので、支配した地域でもユダヤ人をリスト化していた。そしてどの地域で何人のユダヤ人をどこの収容所に送るという"ノルマ達成"を官僚主義的に行っていたが、その際にもきちんとユダヤ人の情報をリスト化していた。そのようなナチスドイツによるユダヤ人の徹底的な管理に向けた"まめな記録"が現在ではデータベース化されており、アウシュビッツ絶滅収容所博物館ではその日が誰の誕生日かがわかる。
写真が残っていない犠牲者の場合は文字だけで犠牲者の情報をポストしている。ユダヤ人にとっては家族や友人らとの幸せだった時代の写真は貴重なものでアウシュビッツまで持ってきたが、ナチスドイツにとっては全く価値のないものだった。そのためすぐにナチスドイツによって焼却されてしまったので、平和な時代の写真が残っているのはとても貴重である。だが平和な時代の写真が残っていなかったとしても、アウシュビッツでは強制労働に適していると判断された囚人らは3方向から写真撮影されていた。それらの写真がデジタル化されて保存されており、3枚の写真が犠牲者の誕生日に掲載されることが多い。
男性が約3万枚で女性が7000枚程度なのは、男性の方が収容所での労働に適しており写真撮影の対象になったからである。つまり女性の方が絶滅収容所での過酷な労働に適していないということで、到着した時の選別でガス室に送られて殺害されてしまった。
ホロコースト犠牲者や生存者らの貴重な写真がデジタル化されて保管されているだけでなく、Xで毎日世界中に発信されている。多い日には1日に10人くらいの犠牲者がポストされることもある。さらにアウシュビッツ絶滅収容所博物館では、大量にある犠牲者の写真の他にも文書、遺品などをデジタル化して保管しており、それら貴重な歴史的コンテンツを毎日Xで世界中に発信している。
アウシュビッツ絶滅収容所博物館では、2019年8月に「解放75年を迎える2020年1月までに、Xのフォロワーを75万人まで目指す」と掲げていた。当時は55万人程度のフォロワーだったが、2019年末には75万まで到達し、目標はクリアした。その後、アウシュビッツ絶滅収容所博物館では「フォロワーを2020年1月27日(国際ホロコースト記念日)までに100万人」と目標を上方修正し、この目標もクリアされ、2022年末までにフォロワー数150万の目標を掲げてクリアした。2024年9月末で約160万人のフォロワーがいる。だが毎月のように数千人規模でフォロワー数が減少している。
▼3方向から撮影された労働に適しているとされたユダヤ人