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ドジャースタジアムに設置された巨大コロナ検査場が同地区プロチームの行方を左右する?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
(写真提供:Jon SooHoo/Los Angeles Dodgers)

【ドジャースタジアムに巨大検査場を開設】

 ロサンゼルス市が現地時間の5月26日、ドジャースタジアム内の駐車場に新型コロナウイルスの大型検査場を開設した。

 同市を含めたロサンゼルス郡ではすでに郡内の住民に対し、無症状者を含め新型コロナウイルスの感染を確認できる無料のPCR検査を実施してきたが、ドジャースタジアムに新設された検査場は郡最大のもので、1日当たり6000人の検査が実施可能だとしている。

 郡ではドジャースタジアムに加え計36カ所の無料検査場を設置しており、すでに45万人の検査を実施したほか、今後も全検査場で1日当たり1万5000人の検査に対応できる態勢を整え、データを収集していく予定だ。

 ドジャースタジアムは公共施設ではなくドジャースの私有地であり、今回はドジャースが市に対して検査場の設置場所を提供したかたちだ。

【郡は引き続き自宅待機命令を継続】

 ただロサンゼルス郡は依然として、新型コロナウイルスに対し厳しい対応を続けていく方針だ。

 26日夕に記者会見を行ったエリック・ガルセティ市長は「(新型コロナウイルスを沈静化させるため)正しい方向に向かっている」としながらも、当面は自宅待機命令を継続する方針を明らかにしている。

ドジャースタジアムで挨拶するエリック・ガルセティ市長(氏写真提供:Jon SooHoo/Los Angeles Dodgers)
ドジャースタジアムで挨拶するエリック・ガルセティ市長(氏写真提供:Jon SooHoo/Los Angeles Dodgers)

 また同市長は10日にCNNのインタビューに応じ、7月いっぱいは自宅待機命令を解除できない可能性を示唆しており、まだまだ同地区住民が日常生活を取り戻すのはまだまだ先になりそうな状況だ。

 その上でもドジャースタジアムに大型検査場を開設し、大量のサンプル数を得ることができるようになり、今後は市や郡にとって重要な判断材料になりそうだ。

【郡内にある計6つのプロチームにも影響】

 ロサンゼルス郡およびロサンゼルス市が厳しい対策を継続する限り、同地区を本拠とするプロチームにも大きな影響を及ぼすことになる。

 郡内にはドジャースの他に、NFLのラムズ、チャージャーズ、NBAのレイカーズ、クリッパーズ、さらにNHLのキングスが本拠地球場/スタジアムのみならずチーム練習施設を構えており、米国でも最大級のプロチーム密集地区だ。

 特にNFLの場合、9月10日のシーズン開幕を目指し、6月から各チームがミニキャンプを開始できることを目標にしているが、現状ではラムズ、チャージャーズともに練習施設を使用できない可能性が高い。

 またドジャースも現在はリハビリ対象選手のみに限って球場及びキャンプ施設を開放し始めたが、他の選手は自宅で練習を続けている状態だ。MLBのシーズン開幕が決まったとしても、現状では3週間のキャンプがドジャースタジアムで実施できそうにない。

 同じくプロチーム密集地区のニューヨーク州では、すでにアンドリュー・クオモ州知事が州内のプロチームに対し、練習再開にゴーサインを与える発言をしており、今後はロサンゼルス郡およびカリフォルニア州の対応が各リーグのシーズンの行方を左右することになりそうだ。

 果たしてドジャースタジアム内に設置された巨大検査場は、ロサンゼルス郡の新型コロナウイルス対策の緩和に繋げることができるのだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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