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憲法12条って大事だよね。あなたは「不断の努力」のやり方知っていますか?

原田謙介政治の若者離れを打破する活動を10年以上
(写真:アフロ)

憲法12条の「国民の不断の努力」

よりよい社会を作り続けるために、若者と政治をつなぐ活動をしている自分が一番意識をしている条文は憲法12条

「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。」

他の条文と明確に違うのは国民が行うこととして書かれている点。憲法学者ではないので、法律論とかでの解釈ではないのだが、この1条はとても特殊だと思う。

民主主義社会において、国民一人一人の主権者としての自由や権利はとても大事なこと。権力によって蹂躙されることがあってはならないし、司法の判断や政治の中でのせめぎあいやメディアの報道などによって守られる。

そして、同時に国民一人一人のたゆまぬ努力も必要だということか。権力の上に胡坐をかいているだけではだめだということを伝える条文だと思う。

この条文が国民に知られ、意識されているのか。

では、この条文が広く知れ渡っているのか。そして、国民が意識して自らの自由及び権利を守ろうとしているのか。

この数年、憲法改正の論争が盛り上がってきているようだが、政治家の皆さんのインタビューなどでこの条文への言及を見たことは自分はない。また、政治家以外の憲法に関する有識者や、活動家の方々もほとんど言及していないのではないかなと思う。

そして、国民の多くも知らないのではないかというのが自分の予想である。

知らなければもちろん日々の行動の中で意識をすることもないだろう。

不断の努力の方法を教わっていない

だからといって、国民がダメだという気は全くない。自分たち一人一人が、民主主義社会の主体であり、政治を作り進めていき、時には権力と対峙する存在であるわけだが、このようなことを教わっていない。あるいは実践の機会を得ていない。

より具体的に言えば、みなさんは

「主権者の一人としての政治の見方や影響の与え方などを教わりましたか?」

という質問に尽きる。

「不断の努力」の必要性や、方法を教わっていない状況が長年続いた中での民主主義社会があまりにも当たり前になりすぎていた。

そして、投票という大事だが、最も受身な政治参画を唯一無二の「不断の努力」の方法として神格化してきた。結果として、投票することの意義を見出せず、投票に行かない人が若い世代を中心に増えている。

そして、エコノミスト誌が毎年公開している民主主義度ランキングによると、日本のランキングは23位。「欠陥のある民主主義」にカテゴライズされており、なかでも 「政治参加(political participation)」における点数が低い状況となっている。

ランキングの詳細はこちらから

18歳選挙権を機に始まった主権者教育

2016年夏の参議院選挙から選挙権年齢が18歳以上に引き下げられた。それに伴い、学校における主権者教育が少しずつ変わってきている。主権者教育という言葉は聞きなれないかもしれないが、以下のように文部科学省は言及をしている。

単に政治の仕組みについて必要な知識を習得させるにとどまらず、主権者として社会の中で自立し、他者と連携・協働しながら、社会を生き抜く力や地域の課題解決を社会の構成員の一人として主体的に担うことができる力を身に付けさせることとした。(文部科学省「主権者教育の推進に関する検討チーム」)

出典:http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/ikusei/1369165.htm

民主主義社会の主役の一人として、社会を積極的に作っていくための教育とでも言えばよいのだろうか。

そもそも、教育基本法では政治について以下のような条文がある。

教育基本法
教育基本法

政治教育はしっかりとやる。でも、政治的中立を保ってね。ということ。

しかしながら、長年学校において政治と生徒・教育が遠ざけられてきた現状も一方ではあったのが日本の政治教育。

政治に関する通達
政治に関する通達

昭和44年に、文部省から学校へ上記のような通達が出され、なんと平成27年、つまりは2015年まで通達が残っていたのである。

そして18歳選挙権の導入が決まり、これまでの方針が180度変わり、政治参画などを伝えていく主権者教育が始まってきたのが現在の状況である。

民主主義を強くするための政策・教育を行い「不断の努力」を行いやすく

9条の取り扱いや合区の解消などの憲法論議ももちろん大事。同時に、そもそも国民一人一人が、主権者としての力を発揮できなければどのような論議であったとしても、国民置き去りのものでしかない。

主権者教育を進めることはもちろん、政党・政治家などの政治側全体は「不断の努力」を行いやすい環境を作っていくことが求められる。

政治に関する情報をしっかりと公開し、主権者一人一人の判断材料を増やすこと。

そして、判断の先の政治参画のより多様な方法を作ること。

この2点をお願いしたい。

2013年まで、インターネット選挙運動すら解禁されていなく、

2019年の統一地方選挙からやっとビラの配布が解禁されるような選挙。

議会の議決に各々の議員が賛成反対欠席棄権などのどの判断をしたのかすらぱっとわからない議会の状況。

この状況の民主主義を改めて少しずつ前に前に進めていく必要がある。

そのためにも憲法12条の意義を権力側と国民側で改めて考えてみることは大事である。

引き続き頑張ります。

政治の若者離れを打破する活動を10年以上

1986年生まれ。岡山在住。愛媛県愛光高校、東京大学法学部卒。「学生団体ivote」創設。インターネット選挙運動解禁「OneVoiceCampaign」。NPO法人YouthCreate創設。「若者と政治をつなぐ」をコンセプトに活動。大学非常勤講師や各省有識者会議委員などとして活動を広げていく。18歳選挙権を実現し、1万人以上の中高生に主権者教育授業を行う。文科省・総務省作成「政治や選挙等に関する高校生向け副教材」の執筆者でもある。2019年参議院選挙・2021年衆議院選挙、2024年衆議院選挙に立候補しそれぞれ次点で敗れる。

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