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18歳成人時代。若者の参画を引き出す政治を作る。責任だけを若者に押し付けないために。

原田謙介政治の若者離れを打破する活動を10年以上
(写真:REX/アフロ)

18歳成人時代を、18歳・19歳などの当事者だけに関わるものに留めてしまっていいのでしょうか?

そうではなく、私は、社会全体に大きく関わるものにしなければならないと思います。様々な企業・業界で色んな対応をすでに進めています。

また、消費者教育へ力を入れるなど教育現場も動いています。

本記事では、その中でも、政治側に求められる対応について考えてみたいと思います。

1:そもそも、政治が進めた18歳成人。

なぜ、18歳成人が進んだかといえば、それは政治の動きがきっかけです。

憲法改正の国民投票の具体的な手続きを決める際に、世界の潮流に合わせて「18歳以上」が投票できるように政治側が決めました。

憲法改正という大きな投票の際には、より広い世代の人に参加してもらおうという意図です。

そして、それが2015年の18歳選挙権、そして今回2022年の18歳成人へと繋がります。法律的には様々な参画や決定の機会が広がってきました。

2:「参画」しやすい政治を作るため政治に求められる対応

この変化を進めた政治側が、18歳成人を期に改めてしっかりと対応を進めなければならないと思います。

(1):投票しやすい「方法」づくり

何よりもインターネット投票の実現を進めるべきです。ワンクリックで時間場所に囚われずに投票できることは、投票する側の利便性が圧倒的に高まります。

現在、期日前投票所の拡充などは進んでいるが、国政選挙の際の投票所の数はどんどん減り、投票時間の繰り上げも広がっています。

また、インターネット投票は若者だけにメリットがあるものではないんです。スマホやネットを使える年齢層が広がってくることを考えると、全世代にメリットがあると考えられます。

もちろん、インターネット投票単独ではなく、実際の投票所での投票とのハイブリッドが目指す姿です。

政府が在外投票のインターネット投票実現を目指し、インターネット投票を公約に掲げる党も増えてきています。早期の実現に期待します。

また、実家から住民票を移していない一人暮らし大学生の投票環境の課題もあります。

明るい選挙推進協会が2015年6月に行った調査によると、63.3%の一人暮らしの大学生は実家から住民票を移していないそうです。そのために、投票のハードルが高くなっている現実があります。

もちろん、現状住民票を移すことが法律で定められています。

「14日以内に住民票異動を届け出る必要(住民基本台帳法)」

しかし、法の実態と社会の状況がかけ離れているのが現状です。

その上で、必要な対応は2つ。

1つは、引っ越しの際に住民票を移すことをより厳格に進める。

もう1つは、居住地と必ずしも紐づかない選挙権行使の方法を作っていくこと。

今の、ウヤムヤな状況を放置しつづけいている状況はそろそろ終わりにしてほしいと思います。

(2):投票しやすい「情報」づくり

そして、「方法」づくりだけではなく、「情報」づくりが実は大事です。

未だに、HPはおろかブログやSNSすら何もない候補者・議員が沢山いるのが現状です。さすがに、国政選挙の候補者ではほとんど見られなくなったが、自治体議員にはまだまだ沢山います。

紙媒体で後援会や地域に広報誌を配っているのかもしれないが、「公」にかかわる議員という立場にいながら、誰もが閲覧できるネット上に情報が全くない状況はそろそろ変えてもらいたい。

こういう話をすると、「私たちは、ネットのことなんてできないんだ」という答えに良く出会います。別に、候補者・議員本人が自分自身で、HP・SNSの運用を行う必要はないです。チラシやポスターの制作・印刷等で行っているように、できる方にお願いすれば良いだけのことです。

また、候補者・議員側ではなく「議会」側に目を移すと、在任中の議会決議での賛成・反対・欠席などの客観的な情報を明らかにして欲しいです。この情報が唯一客観的に、議員の政策志向を見ることができるところだと思います。もちろん、所属する党や会派内での一定のしばりはあるでしょうが、どこに所属するかも含めてここが議員の政治家としての態度がわかるところではないでしょうか。

(3):政治参画を進めるための選挙時以外の経験・雰囲気づくり

最後に、実は大事な選挙以外のことです。

間接民主主義の日本において自分たちの代わりに議論し予算・法律を決める議員を選ぶ選挙は非常に大事な仕組みです。

しかし、選挙のときにだけ「選挙に行こう」「私に投票をお願いします」と言われても効果が薄いことは、今の各選挙の投票率の低さを見れば明らかだと思います。

政治や行政と、生活や将来をつなげて考えることをできるようにするための主権者教育。

生徒会選挙や若者議会など、自分たちの声で、身の回りや社会を変えることができる可能性があると知る様々な経験。

これらの選挙以外の場での、政治参画の機運を高めていくことも大事だと思います。

3:若い人が関わりたいと思う政治・社会でなければ、未来はない

私は、「若者の政治離れ」ではなく「政治の若者離れ」だと考えています。そして、それを解決するために様々な活動・挑戦をしてきました。

新たな視点を持っており、これからの政治でより長く暮らしていく若者が、「関わりたい」と思う政治だからこそ、政治は活性化します。そして、時代にあった政治に変わっていきます。そのことによって、社会も変わっていきます。

若者の政治参画が進むことは、若者だけではなく社会全体を前に進める大きな起爆剤になるのです。

18歳選挙権から6年が経ち、大きく変わってきている部分もあります。

6年前に比べれば大きく広がった主権者教育の実践。

地域での、若者の参画の制度や風土の醸成。

政府や各党が若者の意見を聴く機会の増加。

でも、まだまだやれることはあります。

18歳成人を契機に、改めて「若者のことをしっかりと考える社会」を考えていきたいと思います。

政治の若者離れを打破する活動を10年以上

1986年生まれ。岡山在住。愛媛県愛光高校、東京大学法学部卒。「学生団体ivote」創設。インターネット選挙運動解禁「OneVoiceCampaign」。NPO法人YouthCreate創設。「若者と政治をつなぐ」をコンセプトに活動。大学非常勤講師や各省有識者会議委員などとして活動を広げていく。18歳選挙権を実現し、1万人以上の中高生に主権者教育授業を行う。文科省・総務省作成「政治や選挙等に関する高校生向け副教材」の執筆者でもある。2019年参議院選挙・2021年衆議院選挙、2024年衆議院選挙に立候補しそれぞれ次点で敗れる。

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