「ドローン操縦でミスは許されません。ミスは命取りになります」

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生品ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。そして両軍でドローンの撃墜が繰り返されている。

ウクライナ軍ではここ数か月間くらい、小型の民生品ドローンやウクライナ軍が開発した攻撃ドローン「R18」などから爆弾を投下して地上のロシア軍の戦車などを攻撃して破壊している。ドローンで撮影した動画もよく公開している。

ウクライナ軍では安価な民生品ドローンを改造して爆弾や手りゅう弾を搭載してロシア軍の歩兵部隊や戦車などに投下している。ウクライナではウクライナ軍の兵士だけでなく民間人らもボランティアでドローンを操縦してロシア軍の偵察や監視、攻撃を行っている。

そのような中、英国メディアのザ・サンがロシア兵を追って攻撃を行っているウクライナ軍の兵士の様子を伝える動画を放送していた。ウクライナ軍はロシア軍の隠れ家（アジト）を発見して踏み込むが、間一髪でロシア兵らはすでにその隠れ家を脱出。ウクライナ軍の兵士はすぐに中国メーカーのDJI製の小型ドローンでロシア兵を上空から探索し、ロシア兵を発見すると上空から爆弾を投下させて爆発させて攻撃を行っていた。

ウクライナ兵は「ドローンでロシア兵を攻撃するのは部隊の中でも一番大変な仕事です。ミスは許されません。ミスは命取りになります」と語っていた。そして上空からロシア兵を見つけると「まずは爆弾投下のポジションを定めてから攻撃を行います。ウクライナ全国民からの挨拶です」と語っていた。

▼【刺激的な映像のため閲覧注意】

ロシア軍のアジト発見から小型ドローンで爆弾攻撃を行うウクライナ軍（英国メディア、ザ・サン）【閲覧注意】

ウクライナ軍がドローンから爆弾を投下するのは小型の民生品ドローンか「R18」であろう。今回のウクライナ軍によるロシア軍戦車への投下で完全に破壊をできなかったことから搭載されていたのは、小型爆弾か手りゅう弾である。大型のドローンではないので、搭載できる爆弾や手榴弾の量には限りがあるが、上空から投下するので兵士に命中したら殺傷力はある。

ウクライナ紛争ではドローンによる上空からの攻撃をウクライナ軍、ロシア軍ともに頻繁に行っている。そしてドローンの多くは迎撃されて破壊されてしまうか、機能停止させられてしまっている。ドローンが上空を飛んでいたらバリバリと大きな音がしてドローンの存在に気付くのでアンチドローンの迎撃システムがあれば機能を停止させたり、撃墜したりすることもできる。

上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害（ジャミング）してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル（soft kill）"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破する、いわゆる"ハードキル（hard kill）"がある。それぞれに迎撃システムがある。

ドローンを迎撃されるだけでなく、ドローンを操縦している場所を探知されたら、そこをめがけてミサイルなどで逆襲の攻撃をされる可能性も高い。今回も動画の中でウクライナ軍の兵士が「ミスは許されません。ミスは命取りになります」と語っていたが、上空のドローンだけでなく、操縦している場所も敵軍から見つかってはいけない。

居場所を探知されてミサイルで攻撃をされるだけでなく、操縦しているところにロシア兵が来て捕えられてしまい捕虜になる恐れもある。捕虜になってしまっても国際人道法に基づいた扱いを受けられるかどうかは不明で拷問されたり殺害されたりしているという報道もある。ウクライナ兵が語っているように命取りになりうる。