手足口病にかかった後は爪に注意?
手足口病について
手足口病はエンテロウイルス71、コクサッキーウイルスA16、コクサッキーウイルスA6などのウイルスによる感染症で、幼児を中心に毎年夏に流行のピークがみられます。特に今年は過去5年で最大規模の流行となっています。ご自身、あるいはご家族が手足口病になったという方も多いのではないでしょうか。
出典:東京都感染症情報センター
手足口病は咳やくしゃみによる飛沫感染、便中に排泄されたウイルスからの経口感染、ブツブツの中にいるウイルスからの接触感染などによって感染します。感染してから3〜5日後に口、手のひら、足の裏や会陰部に水ぶくれのような皮疹が出現し、熱が出ることもあります。
症状は3〜7日で自然に良くなりますが、稀に髄膜炎や脳炎などの重篤な合併症がみられることがあります。前述の通り今年はすでにピークを過ぎていますが、特に手足口病に罹った方にこれから注意していただきたいことがあります。それは爪の変化についてです。
手足口病によって爪がはがれることがある
今から8年前の2011年、妻から子どもたちの爪について相談されたことがありました。子どもたちの爪が変だから見てほしい、と。「おいおい、オレは感染症が専門なんだから爪なんか分かんないよ」と思いつつ見てみると、たしかに爪が剥がれています。長女と次女の2人ともです。「まさか!!妻による虐待ではッ!?」なんてことは微塵も思わず、これは何だろうなーと考えてみたところ、そう言えば2人とも約1ヶ月前に手足口病に罹っていたのでした。
手足口病に罹った後に爪が剥がれる現象は2000年に最初に報告がなされ、その後特にコクサッキーウイルスA6の手足口病に罹った1〜2ヶ月後に爪が剥がれることが分かってきました。日本でも2011年夏にコクサッキーウイルスA6による手足口病の大流行がありましたが、この際にも手足口病に罹患した1~2か月後に爪が剥がれた事例が多数報告されています。今年の流行も多くがコクサッキーウイルスA6によるものであり、手足口病に罹った後1〜2ヶ月後に爪が剥がれる現象が多数報告されています。ご自身、あるいはご家族が手足口病になったという方は爪の変化にご注意ください(必ず剥がれるというわけではありません)。なお、私の子どもたちのように爪が剥がれても自然に戻りますが、ご心配な場合はお近くの皮膚科をご受診ください。