FMSで購入したアメリカ製兵器の開発分担金の支払いを日本は免除されていた
アメリカから兵器を購入する「対外有償軍事援助(FMS)」は上乗せされる金額があります。管理費や梱包費などの手数料の他に、開発分担金というものがありました。アメリカが開発した兵器を買うのだから、開発費用を一部負担するというものです。
実は近年、このFMSによる兵器購入での開発分担金について日本は免除されています。
- MDE:Major Defense Equipment アメリカ合衆国政府における研究開発費が5000万米ドル又は総製造費用が2億米ドルを超えた防衛装備品。
- LOR:Letter of Request アメリカ合衆国政府に対する引合書を請求する書類。
- DSCA:Defense Security Cooperation Agency アメリカ国防安全保障協力局。アメリカ合衆国政府におけるFMSの手続を担当している国防省傘下の部局。
- FMS:Foreign Military Sales アメリカ政府が行っている有償の対外軍事援助プログラム。
この免除はF-35戦闘機の購入にも適用されていました。ただしアメリカに支払う開発分担金は免除されていますが、F-35は複数国で共同開発した戦闘機なので、アメリカ以外の他の共同開発国に対する開発分担金の負担は免除されておらず、この分は支払っています。
会計検査院の令和元年(2019年)の報告書なのでもう3年前になりますが、FMSでの開発分担金をアメリカから免除されていたとは全く気付いておらず、検索してたまたま発見しました。メディアでの報道もこれまで無かったように思えます。
なおこの開発分担金ですが、支払っていた頃でも上乗せされるのは大きな割合ではありません。ところが一部の報道では明らかに間違った解説が流れていました。
開発経費を割り掛けして価格にのってくるとは開発分担金のことでしょう、しかし金額が2倍から3倍も跳ね上がるようなことは有り得ません。おそらくこれは「機体単価の価格」と「諸経費込みの価格(予備エンジンなど交換部品および訓練費用など関連費用含む)」を混同して比べて勘違いしているのではないかと思います。諸経費込み価格なら機体単価の2倍から3倍になりますが、当然ですが比較する場合は条件を揃える必要があります。
そこで事実を伝えるために、現在のFMSでは開発分担金は具体的に何%上乗せされているのか調べてみるつもりだったのですが、結論は上述のように「現在FMSでの購入で日本は開発分担金の支払いをアメリカから免除されている」というものでした。
つまりボッタクリの価格上乗せなどある筈も無かったのです。