日銀の追加緩和のタイミング
ブルームバーグが10月17~22日にエコノミスト53人を対象に実施した調査によると、日銀が現在0.25%程度の政策金利を引き上げる時期に関して、53%が12月を予想した。次いで来年1月が32%となり、両会合で計85%を占めた。
これに対して、10月29日~10月31日に債券市場関係者を対象にQUICKが実施した10月のQUICK月次調査<債券>によると、2024年12月の日本の政策金利について、中央値、最頻値ともに0.25%となっていた。
10月31日の日銀金融政策決定会合では、金融政策の現状維持を決めた。会合後の会見で植田総裁は米国経済の下振れリスクが後退しているとして、今後、経済・物価情勢の見極めなどで「時間的な余裕はある」という表現は使わないと説明した。
これは12月の利上げに向けた準備のひとつと私は受けとった。日銀は正常化に向けたスケジュール感は持っていないとしていたが、それでも政治的なスケジュールは影響を受けよう。
10月の衆院選については7月の利上げ時には予測は難しかったが、11月にも解散総選挙はあるとの見立てが多かった。さらに11月5日には米国の大統領選挙を控え、さすがに10月30、31日の金融政策決定会合での利上げの可能性はないと私はみていた。
ある程度の間は設けるにして日銀は利上げを淡々と進めるとみており、12月18日、19日の決定会合で、ある意味、ひとつの節目ともいえる0.50%の利上げを行うのではなかろうか。
このタイミングで注意すべき事がある。 桜井真・元日銀審議委員が5日のロイターのインタビューで語っていたことがらである。
桜井氏は鍵を握るのは「マーケットと政治状況」だと指摘した。私はマーケットについては8月5日のような荒れ方をしない限りはそれほど気にする必要はないとみている。
しかし、12月の決定会合は来年度予算案の閣議決定が迫るタイミングで開かれるため、利上げに対する石破政権の理解を得るのは難しいのではないかとの見方を桜井氏は示した。
来年度予算案や国債発行計画の発表などを控えたタイミングでの利上げについては、確かに無視はできない。
それでも林官房長官は11月1日に「金融政策手法、今後の利上げ含め日銀に委ねられるべき」とも発言していたように、石破政権の理解は得られるのではなかろうか。
12月の利上げの予測は果たしてどの程度いるのか。
債券市場の動きからみても、利上げなしとみている市場参加者もそれなりに多いようにも見受けられる。ただし、完全になしとみるのもリスクはあると思う。