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服部慎一郎五段、記録3部門でトップを走る 現在10連勝中の藤井聡太竜王、史上最高勝率をうかがうペース

松本博文将棋ライター

 終盤を迎えた2022年度の将棋界。記録4部門も目が離せないところです。

 対局数、勝数、連勝の3部門でトップを走るのが服部慎一郎五段。今年度成績はここまで43勝13敗(勝率0.768)です。

 服部五段の年度初戦は叡王戦挑戦者決定戦でした。そこでは惜しくも敗れたものの、今期本戦では再び1回戦で勝ち上がっています。

 服部五段はC級2組で現在8勝0敗。昇級争いのトップを走っています。

 これから始まる王位戦リーグでも活躍が期待されます。

 勝率部門で長くトップを独走していた徳田拳士四段(25歳)。現在は32勝7敗(勝率0.821)で3位に後退しました。

 これまでの将棋界の感覚では、年間勝率8割超えは何年に1度見られるかどうかという数字です。徳田四段の勝率0.821など、ぶっちぎりで年間1位になっていてもおかしくはない成績。しかし最近はある棋士の登場で、そうでなくなったのが恐ろしいところです。

 勝率部門で1位に躍り出たのが藤井聡太竜王(20歳)。現在は40勝7敗(勝率0.851)です。

 藤井竜王の現在の勝率は史上2位タイです。

 藤井竜王は竜王戦七番勝負第5局(後手番)で敗れて以降、ここまで10連勝。先手番に限れば今年度は1敗しかしておらず、現在21連勝中です。

 勝率8割台は、将来を嘱望された新鋭の「五段」でも難しいところ。すでに棋界の頂点に君臨し、ほとんどトップクラスとばかり当たり続ける「五冠」が史上最高勝率をねらう位置にあるのが、なんとも恐ろしいところです。

 ちなみに羽生善治現九段(52歳)が「奇跡」とも言われた七冠制覇を達成した1995年度の成績は46勝9敗(勝率0.836)。こちらは史上5位に残る勝率です。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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