朝食需要、ニーズはあるけれど・・・難しい。
幾度となく挑戦した朝食メニュー
コンビニでは明らかに朝食に焦点をあて、商品を投入している。その一方、外食企業はというと、幾度となく、朝食メニューを手を変え、品を変え、投入していたが苦戦。多くの企業の売り上げ構成比をみると、10%も満たない。ニーズはあっても、朝食を掘削することは非常に難しいとされていた。
ようやく、最近、これまでの努力が実ったようで、モスバーガーでは売り上げ構成比が10%超えたとのこと(フード・ビズNO78参照)。
デニーズでも朝食の注文数が多いことから、メニューを3月18日、FRの中で最も低価格の名古屋式(ドリンクにもれなくトーストが付く)235円を一部の店舗で投入された。そしてかつや。朝食の売り上げ高は前年比より1割、増えており、新たに2から3カ月ごとに季節感のあるメニューを用意することでリピート客や新規客をめざすという(日経MJ2016年4月1日)。
これまで朝食メニューの難しさ
さてこれまで「朝食はニーズはあっても難しい」と言われる所以
人件費
まず早朝、アルバイト、パートさんがなかなか集まらない→そのため、他の時間帯より時間給が高め設定となり、早朝のパート・アルバイトは平均時給より約50円から100円の上乗せが必要となる。6時からオープンしているところでは、その前から店舗に入ることとなり、深夜帯において、通常より1・25倍の支払いが必要となる。朝食はその条件での利益確保が前提。
朝食メニューはシンプルイズベスト
差別化を図ろうとも、やはり朝食は、あまり奇をてらった商品は好まない。その一方、既に中食までも含めると、競争が乱立しており、差別化が必要。このさじ加減が難しい。
価格は500円まで
外で朝食にかける価格480円(日経ビズ参照)とされ、これが上限であり、それ以上だと難しいとされる。
一方でメリットを申し上げますと
食する時間帯に幅がある
朝食は平均12分かけるとされ、昼食の約半分の時間と言われる(共同通信参照)。しかし食べる時間帯を見ると、朝食は6時半から8時半までが2桁の数字で高く(グラフ参照)、つまり2時間という幅がある。一方、昼食をみると、12時から12時半の30分間に突出して集中している。つまり2時間という幅があることで、朝食におけるレジ、厨房内のOPは昼食ほど混乱をきたさない。接客も昼食に比較するとスムーズに行いやすい。
↑「2015年 国民生活時間調査報告書(平成28年2月NHK放送文化研究)」の資料で、平日の食事時間の数字をもとに作成いたしました。
今後の朝食
ようやく朝食にも活路が見いだされつつあるなか、今後、どうなるのか。
平日、土曜、日曜の食する時間帯をピックアップ。「2015年 国民生活時間調査報告書(平成28年2月NHK放送文化研究)」の資料をもとに作成いたしました。
朝食の時間帯を、平日、土曜、日曜でみると、多少、食する時間帯は、土曜、日曜と遅くなるといった違いはあれ、幅はある。つまり昼食のように曜日に関係なく、ピークは30分間というきつい縛りがなく、むしろ緩いのだ。
次に朝食の価格設定ですが、あくまで現況のみで見ると、外での朝食にかける費用は、60代を見ると1000円以上が19・4%と高く占めている。
しかし今後、高齢化から食は細くなり、当然のことながら、外食にかける支出さえも減少する。すでに人口の約3割を占めている単身者は、今後も増加すると予想される。そこで単身者の35歳未満、60歳以上の外食費を比較してみると、65歳以上は外食費は35歳未満の約三分の一になっている(総務省統計局平成26年度)。そこからも従来の500円までが、今後も適正価格となるのではないだろうか。
これら条件が整い、その上で高齢化に伴い、より「くつろげる空間」も必要となってくるであろう。朝食は、比較的、習慣化しやすい。つまり浮気しない時間帯でもある。昔、街でよく見かけた喫茶店で朝食を頂くと、必ず来ているおじさん、おばさんが一人や二人いたものだ。そこで知り合いとなり、たわいのない話をする。そしてお客様とお客様とがつながることで、そのお店にまた来店したくなったもの。
人口減のなか、顧客に来店してもらうには、そのような要素も必要である。いずれにせよ、朝食市場は中食、外食、垣根を超え、ますます激化していくであろう。