ユニクロのセルフレジ特許侵害訴訟について
ユニクロのセルフレジ、最初は勝手がよくわかりませんでしたが、慣れてくるとなかなか便利ですよね。さて、「セルフレジ”特許侵害” ユニクロに使用中止求める」という記事を読みました。ITソリューション開発企業のアスタリスク社がレジの使用差し止めを求める仮処分を申立てたとのことです。
問題の特許ですが、アスタリスク社のプレスリリースによると第6469758号「読取装置及び情報提供システム」等のようです。
当該特許の請求項1は以下のようになっています。
基本的アイデアは驚くほどシンプルで、タイトル画像の図に示したように、桶状に形成されたシールド(44)の中に商品を入れることで、電磁波の外部への放射を低減しつつ、アンテナ(60)による正確な無線タグの読み取りを実現することにあります。下図のような商品をアンテナ(104)上に平置きする従来タイプでは周囲への電磁波の影響により装置間の距離をあまり近くできなかったという課題に対応したものです(ちょっとわかりにくいですが、下図で商品が入っているカゴ状の物はシールドではなく普通の買い物カゴです)。
自明なアイデアで新規性はあるのかとも思えますが、「言われてみれば自明だが誰もやっていなかった」のは強力な特許の証しでもありますので何とも言えません(係争中の案件に利害関係者でもないのに詳細にコメントするのは憚られますのでここまでにしておきます)。ちなみに、昨日、ユニクロ下北沢店に行きましたが、確かに無人レジのタグリーダー(アンテナ)部分は桶状になっていました(シールドの構造まではわかりませんでしたが)。
そして、上記記事でも触れられているように、本特許にはユニクロ(ファーストリテイリング)による無効審判が請求されています(無効審判の詳細な内容はネットからではわかりません)。さらには、別の会社から異議申立も行なわれていますが、無効審判に一本化するために異議申立は中止状態になっています。無効審判係属中に差止の仮処分を申立てるアスタリスク社の意図を図りかねますが、上記プレスリリースには第6469758等と書いてあるので、無効審判が請求されていない他の特許でも権利行使しているのかもしれません。