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この30年でサラリーマンの昼食代はどのような変化をとげたのか

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 手持ち予算次第で選択肢も増えるサラリーマンの昼食

サラリーマンにとって数少ない就業中の楽しみに挙げられるのが昼食。しかし多分に費用の面で頭を抱えさせられることも多い。彼らの昼食代はどのような変移を遂げて来たのか。新生銀行による経年調査「サラリーマンのお小遣い調査」の公開データを基に、中長期的な視点におけるサラリーマンの昼食代の推移を確認していくことにする。

今調査におけるサラリーマンの昼食代事情だが、昨今の経済状況を受けて厳しい状態が続いている。次に示すのは全体的な昼食代(「サラリーマン」を対象にしていることに注意)の単純な推移。なお「昼食代」には、お弁当を持参した場合はカウントされないことに注意(つまり持参弁当率が増えても平均昼食代が下がることは無い)。また、調査結果が公開されていない年の値は状況を把握できず、グラフがやや角ばった形となってしまっている。

↑ サラリーマンにおける1回あたりの昼食代(円)(-2014年)
↑ サラリーマンにおける1回あたりの昼食代(円)(-2014年)

最古の公開値、1979年分は565円。バブル景気の余韻が残る1992年の746円を頂点とし、あとは漸減。今世紀に入ってから、特に2005年以降の下落ぶりは顕著で、2007年の金融危機ぼっ発直前までの小康状態時期に多少持ち直しを見せるが、その後は再び下落。1979年以降しばらくの間は消費者物価指数も上昇を続けており、以降はほぼ横ばいだった状況を考えれば、実質的な昼食購買力は(1979年と比べて)さらに落ち込んでいることは間違いない。

この昼食代について、回答者の未既婚別で区分したものが次のグラフ。公開値は1992年以降のものだが、概して未婚者の方が昼食代が高い結果が出ている。

↑ サラリーマンにおける1回あたりの昼食代(円)(未既婚別)(-2014年)
↑ サラリーマンにおける1回あたりの昼食代(円)(未既婚別)(-2014年)

未婚者の方が自分の自由にできるおこづかいに余裕がある、既婚者は育児費用などの負担が大きく、昼食代を値切られている可能性があるなど、複数の理由が考えられる。

ところがこの数年は、未婚者の方が昼食代が低い。これは「未既婚別では未婚者は外食・購入弁当が多く、持参弁当が少なめ」「既婚者は持参弁当が未婚者の2倍近くで、外食や購入弁当など費用がかかるものが少なめ」なのが原因だと考えられる。つまり「持参弁当で節約する必要が無い、家計に余裕がある世帯が多分に含まれている」ため、既婚者の方が高い値が出てしまっていることになる。見方を変えると既婚者の昼食事情は「高めの外食」「経費がかからない持参弁当」の二極化が進んでいることになる(無論外食と持参弁当のどちらが良い、悪いという意味では無い)。

↑ サラリーマンの昼食内訳(2014年、一部)
↑ サラリーマンの昼食内訳(2014年、一部)

サラリーマンにおける昼食時間はこの数年ようやく回復しつつあるが、それまでは確実に減少を続けていた。生活リズム・スタイル全体がスピードを求められる時代になりつつあるのも一因だが、それと共に金額面もあわせ、昼食時間のせわしさ、つつましさも加速しているようだ。その意味で、この数年における昼食代・昼食時間の回復は、喜ばしい状況変化といえよう。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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