Fire TV搭載スマートテレビ 「チューナーはいらない」との声も
アマゾンとヤマダホールディングスが、国内初という「Fire TV搭載スマートテレビ」を発表しました。地上波などのテレビ番組とストリーミング動画を融合した体験を売りにした製品ですが、ネット上では「チューナーはいらない」との声も上がっています。
アマゾンのスマートテレビ機能「Fire TV」は、テレビの画面でPrime VideoやYouTubeなどの動画を視聴できるというもの。テレビのHDMI端子につなぐスティック型などのデバイスは全世界で累計1億5000万台以上を出荷、月間利用者数は世界で5000万人以上、日本でのレビュー数は20万件以上としています。
海外ではこのFire TV機能を搭載したスマートテレビ製品も売られています。今回、アマゾンはヤマダホールディングスと組み、ヤマダが独占販売するFUNAIブランドから日本初の製品を投入した形です。初年度の販売目標は25万台といいます。
特徴は「コンテンツ主導」の体験といいます。よくあるスマートテレビでは「地上波」や「Netflix」などのサービスをまずは開き、その中で見たいコンテンツを選ぶ方式でしたが、この製品では地上波の番組やストリーミング動画、録画した番組などが区別されず、ホーム画面に並んでいます。
スマートホーム機能としてカメラや照明の表示や操作にも対応しており、自宅で「Alexa」をよく使う人には便利です。また、インターネット接続がない状態でも、TVアンテナに接続していれば地上波などの番組は視聴できるとのことから、普通のテレビとしても問題なく使えそうです。
アマゾンのサイトでは中国ブランドなどの安価なスマートテレビも売られており、価格競争はなかなか激しそうです。3月4日までアマゾンでは特別価格で予約注文を受け付けており、43型の4K液晶モデルは税込み7万6780円(通常価格は10万9780円)など、大幅に値引きするようです。
ただ、スティック型であれば新しいモデルへの買い替えは容易ですが、この製品ではFire TV機能がテレビと一体型になっており、ソフトウェアのアップデートがどれくらい続くのか気になるところ。アマゾンジャパンは「具体的には申し上げられませんが、長くお楽しみいただけるようにしたいと考えています」と説明しています。
スマートテレビにチューナーはいらない?
最近では「チューナーレス」のテレビをドン・キホーテなどが販売していることを背景に、スマートテレビに「テレビチューナーはいらない」との声が上がっています。放送法に照らし合わせると、こうしたモデルではNHK受信料の支払いが不要と解釈できる部分があり、話題になっているようです。
この点について、ヤマダでは「ストリーミングを楽しまれるお客様が増えているのは事実だが、即時性やライブ性のあるイベントなど、まだまだテレビ番組はキラーコンテンツだ。テレビが映った上で、どういった機能を提供できるかに注力した」(取締役の村澤圧司氏)と語っています。
今後、チューナーレスのモデルが増えていけば放送法などの制度が変わる可能性はあるものの、NHKの受信料を払う代わりに動画配信のサブスクを契約したいという人はそれなりにいると考えられます。
一方、ヤマダはテレビ本体だけでなく、電動ソファやテレビ台などの家具製品を含めて、快適な視聴体験を提案しています。一般的なお茶の間においてチューナーレスはまだニッチな需要であり、テレビ番組を見る人はまだまだいるというのがヤマダの判断といえそうです。