「囚人を丸太に吊るし石ぶつけ処刑」金正恩の収容所で残酷ショー
北朝鮮の黄海北道(ファンヘブクト)南部にある平山(ピョンサン)管理所で今年4月、2人の収容者が脱走し、一帯が騒然とする出来事があったという。管理所とは政治犯収容所のことで、その内部ではあらゆる人権蹂躙が横行している。
まさに、金正恩総書記の恐怖政治を下支えする機関と言える。
デイリーNKの現地情報筋によれば、「今年4月、収容者の男性2人が脱走し、48時間後に沙里院(サリウォン)市内で捕らえられたが、この事件で黄海北道(ファンヘブクト)全体が大騒ぎになった」(情報筋)という。
この事件を受け、管理体制に問題があったとして同管理所の所長が処罰を受け、別の教化所(刑務所)の課長に左遷された。
そして、新しい所長に就任した元の副所長は、捕まえた2人を丸太の柱に吊るして、他の収容者に石を投げさせる形で処刑したとのことだ。
(参考記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面)
また、脱走のことを知りつつも隠したとして、60人あまりを拷問にかけ、懲罰課題計画(ノルマ)の遂行で誤ちを洗い流せと、収容者360人を極めて過酷な労働に駆り出し、栄養失調などで多くの死者が発生したとも伝えている。
一方、北朝鮮全国の管理所ではこうした虐待が重なり、収容者の人数が昨年7月と比べて2万人以上減少したことが、この情報筋が提供したデータで明らかになった(表参照)。
情報筋は、14、17、18号管理所では医療体制が整っておらず、コロナのみならず、汚染された水や食べ物で感染する腸チフスやコレラなどで、収容されて間もない人たちが次々に亡くなったことが、収容者数の大幅減少につながったと証言した。
今年4月には、収容者の数が増えているとの情報があったが、わずか数ヶ月でその多くが死んでしまったということだろう。
また、劣悪な労働環境が死を招いているとも語った。
「16号管理所では、老朽化した坑道が崩落し、数百人が生き埋めになる事故が起きた。事故が起きたこれらの坑道には、まともな支柱もなく、(素掘りの穴を)這って進むような構造になっている」(情報筋)
なお、勝湖里(スンホリ)管理所の収容者数がゼロになっているのは、特権層を収容する労働鍛錬隊(刑期の短い収監者用の刑務所)に変わったためだ。
管理所に収容された人々は、すべての権利を奪われた状態で、強制労働で酷使される。釈放が許されない完全統制区域であろうが、釈放の可能性がある革命化区域であろうが、死ぬまで労働力を搾取される点では変わりない。