NY金29日:米マイナス成長化で、小幅続伸
COMEX金6月限 前日比比1.00ドル高
始値 1,188.10ドル
高値 1,194.40ドル
安値 1,186.00ドル
終値 1,189.80ドル
1~3月期の米経済の減速状況が再確認されたことを受けて、小幅続伸した。
為替相場の急激なドル高圧力が一服する中、アジア・欧州タイムは1,188~1,190ドルで揉み合う展開になった。ただ、1~3月期米国内総生産(GDP)改定値が速報値の前期比+0.2%から-0.7%に修正されると、景気減速懸念を背景とした買いが膨らみ、小幅ながらプラス圏での取引が目立つ状況になっている。
1~3月期の米経済は、マイナス成長に陥ったことが確認されている。ドル高で輸出が伸び悩む一方、西海岸の港湾労使紛争で輸出も停滞する中、主に対外部門が米成長の足を引っ張った形になっている。個人消費や在庫投資なども下方修正されており、1~3月期の米経済が極めて強力な逆風に晒されたことが窺える。もっとも、こうした状況にはサプライズ感が乏しく、改めて金相場を大きく押し上げるような材料とまでは評価されていない。1~3月期米GDPの市場予測も-0.9%であり、予想されていた程には悪貨していなかったとの評価も可能な数値になっている。
マーケットの焦点は、4~6月期以降の景気回復状況にシフトしており、実際に本日の債券や為替市場では改めて米連邦準備精度理事会(FRB)の利上げ先送り観測を織り込むような動きは確認されていない。急激なドル高一服で金相場は下げ渋っているが、1~3月期の米成長鈍化が一時的なものであることが再確認できれば、金利上昇・ドル高圧力と連動して下値模索の展開となろう。
上昇リスクとしては、引き続きギリシャ債務問題の方に注目したい。6月5日の国際通貨基金(IMF)融資に対する返済は履行される見通しだが、ギリシャがユーロから離脱するのか、ユーロ圏側がギリシャ支援に踏み切る条件整備が進むのか、依然として著しい不確実性が残されている。金価格に対しては一時的な上昇リスクとの評価で十分と考えているが、混乱状況がエスカレートすれば金価格にポジティブな影響が生じることまでは否定できない。