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「笑顔うつ病」を理解する3つの視点と、うつ病を見分けるための共通点とは?

精神科医しょう精神科医/メンタルドクター

こんにちは、精神科医しょうです。

うつ病は、日本ではこれまでに15人に1人が経験したことがある「誰もがなり得る病気」であるといわれています。

近年では、その発症数が増加傾向にあり、非常に身近な問題として捉えられています。

ところが、「うつっぽいな」と感じながらも、さまざまな事情により医療機関を受診しない人は多く、治療が遅れてしまうケースが目立ちます。

正式病名ではありませんが、うつ病とわかりづらい「笑顔うつ病」においては、本人がうつ病に罹患していると気づかずにつらいまま過ごしてしまうことが多いため、重度のうつ病に移行してしまうことがあります。

うつ病は、早期発見と早期治療が重要であり、治療は辛抱強よく続けることが大切とされています。

そこで、笑顔うつ病をはじめ、うつ病について理解するための3つのポイントと見分け方について考察していきたいと思います。

うつ病を理解する3つのポイントとは?

うつ病の発症原因は、いまだ不明な点も多く、ストレスだけが原因とは限らないと言われています。

しかし、重要なライフイベントやトラブルの後など、精神的なストレスを感じる状況で発症することが多いとされています。

結婚や離婚、家族との死別などのライフイベントによって生じるストレス、人間関係のトラブル等による対人ストレス、仕事や学業、家事育児等から生じる多忙によるストレスなど、精神的なストレスは誰にでもあるものです。

このように誰でもうつ病になる可能性がある一方で、同じような環境下に置かれても発症しない人もいます。

なぜなら、ストレスに対する反応には個人差があり、ストレスを受け止める考え方や性格、遺伝や環境など複雑に絡み合っているといえるからです。

このように複数の要因が絡み合って発症する背景を「バイオ(生物)」「サイコ(心理)」「ソーシャル(社会)」という3つの側面から探る考え方が主流になりつつあります。

・「バイオ(生物)」

遺伝を含む脳や体の働きに関わる問題により、うつ病との関連性を考えます。

・「サイコ(心理)」

几帳面や完璧主義、神経質などの本人の性格や気質、気分の落ち込みや意欲の低下など心理的な症状からうつ病との関連性を考えます。

・「ソーシャル(社会)」

生活環境(職場・学校・家庭)や人間関係でのストレスがうつ病発症に影響しているものと捉え、関連性を考えます。

これら3つの視点を多角的に捉え、問題解決につなげていくといった取り組みがなされています。

「正常の落ち込み」と「うつ病」の見分け方とは?

私たちは通常、嬉しいことがあれば気分はよくなりますが、嫌なことがあれば気分は沈みます。

起こった出来事によってさまざまに変化するのが私たちの気分であり、日常生活の中でごく普通に起こる「憂うつな気分」自体に大きな問題はありません。

あくまでも一過性のものであり、問題が解決すれば気分はスッキリします。

一方で、2週間以上続く病的な抑うつ状態であるうつ病の場合は、一時的な抑うつとは異なり、良いことがあったり、問題が解決したりしても気分の落ち込みは解消されず、気晴らしも精神状態の改善にはあまり効果が期待できません。

日常生活の中で生じる一時的な抑うつと、うつ病による抑うつ症状は、具体的な症状の差や原因の有無、症状の継続期間などにより見分けることが可能かと思いますので、以下のことを参考にしてみて下さい。

<正常の落ち込み>
・きっかけ
きっかけとなる出来事やストレス要因がわかりやすい
・持続性
1~2日程度はふさぎ込んでいるが、次第に落ち込みが消えてくる
・生活への支障
支障は少なく、それなりに日常生活を送れている
<うつ病>
・きっかけ
きっかけはわかる場合もあるが、あり過ぎてわからないことが多い
・持続性
2週間以上、四六時中、ずっとふさぎ込んでいる
・生活への支障
支障が大きく、仕事や学校を休んだり、家事をしたりしても手付かずになってしまう
やる気がでず、何をやっても集中できない

うつ病だけではなく、予備軍にも注意を!

うつ病の患者数が年々増加しているのは、うつ病に対する認知度が高まり、社会的な理解が進んできているからだとも言えますが、一方でうつ病に抵抗を感じる人も多く、なかなか受診につながらないというのも事実ではないかと思います。

しかし、先述した通りうつ病は早期発見と早期治療が最も大切な病です。

「うつ病かもしれない」と悩んでいる方は、ぜひ以下の項目をチェックし該当していたら、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

・2週間以上に渡って気分が落ち込み、絶望的な気持ちになる
・物事にほとんど興味がない
・食欲がない(または食べ過ぎる)
・眠れない(または眠くて起きられない)
・疲れがとれない、気力がない
・集中力がない
・周りの人から普段と様子が違うと言われた
・死んでしまいたくなることがある

まとめ

うつ病は罹患すると、物事を悲観的な方向へ考え出し、自己否定的な考えを抱いて「生きていても仕方がない」と死に囚われるようになることがあります。

こうなる前に、できるだけ早く、医療機関を受診することが大切であることを繰り返しお伝えしたいと思います。

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精神科医/メンタルドクター

HSP気質とメンタルヘルスについて発信している精神科医。精神科外来で診療を行い大学で研究も行っている。instagramのフォロワー7万人以上。著書:頑張り屋さんのための心が晴れる本(KADOKAWA)、新刊:精神科医が教える笑顔うつから抜け出す方法(2023年8月16日発売)。私のブログのテーマは、「他人軸でなく自分軸で気楽に生きる」です。あなたはこんな悩みをお持ちではありませんか?「他人の顔色ばかりみてクタクタ」「自分の意思で生きられない」「いつも後悔ばかりでグルグル一人反省会」こんな他人軸の悩みでクタクタなあなたは、上記の私の名前をクリックして公式ブログから自分軸を目指しましょう♪

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