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新五輪エンブレムは招致エンブレムを再利用すべきである

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

私事ですが、TBS「ひるおび」に五輪エンブレム問題のコメンテーターとして出演中に局アナの人がエンブレム審査の経緯を説明しているまさにその瞬間に「エンブレム見直しへ」のニュース速報が入ってしまい、ちょっとグダグダな放送になってしまいました。

ベルギー劇場側が態度を軟化させず、IOCの総本山のスイスでの訴訟の意図もちらつかせる状況下で、この決断はやむを得なかったと思います。裁判の勝ち負けはあまり問題ではありません。ある意味、裁判でもめごとになること自体が既にIOC/JOC側の負けを意味しています。

今、最も気になるのは新しいエンブレムはどうするのかという点です。本日18時からの記者会見で明らかになるのかもしれませんが、選択肢は大きく3つあるでしょう。

1. 新たに公募を行なう

2. 今回の公募の2位以下から選抜する

3. 招致エンブレムを再利用する

1.をネット投票等もからめてオープンかつソーシャルできれば理想ですがさすがに時間的に厳しいでしょう。2.は、1.よりはましですが、これから選抜して商標調査ということになるとやはりある程度の時間がかかります。費用も重要ですが、今回特に重要なのは時間的制約でしょう。

ということで、個人的には3.を推したいです。招致エンブレムは既に全商品・役務で商標登録が完了しています(5464947号、5509560号、5509561号)。賢明にもCANDIDATE CITYの記載がない状態で登録されています。2012年に登録されているのでで更新なしにオリンピック本番に間に合います(更新しても数百万円の費用ですが)。

招致エンブレムは本番五輪エンブレムとして使えないという説があります(実際、「ひるおび」でもJOCに問い合わせてそのような回答を得ているようです)。しかし、ウェブ上でオープンになっている規則類を見ても招致エンブレムを本番五輪エンブレムとして使ってはいけないという規定は見つかりません(招致エンブレムを作ってよい、本番五輪エンブレムを作ってよいとは書いてありますが、両者が同じではいけないとは書いてありません。)公開されていない内部規則や契約書のようなものがあるのかもしれませんが、であれば、IOCが承諾すれば済む話です。

招致エンブレムは国民の評価も高いと思いますし、パクリ疑惑も(少なくとも今の所は)出ていないと思います。デザイン的にもグッズの展開に向いていると思います。ただし、パラリンピックのエンブレムは別途作る必要がありますので、こちらを別途公募にして、招致エンブレムと一貫性があるデザインにすればよいのではないかと思います。

【追記】五輪組織委の会見を聞きました、公募からやり直し(つまり上記の1.) でいくようですね。いずれにせよ個人的には3. 推しであることには変わりはありません。

弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

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