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【京都市下京区】おひがしさん門前で80年 天然素材の和ろうそく専門店の店主が語る七条通活性化への思い

HOTSUU地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 店内には、大きいものから小さいものまで、たくさんの単色の和ろうそくが並んでいます。中には、カラフルな色どりで花々が描かれた絵ろうそくもありました。「これ最初にお寺さんに飾った時には、何してくれんねんと驚かれたりもしたけどなあ」と笑顔で話してくれたのは、店主の丹治潔さんです。

「おひがしさん」と親しまれる東本願寺の南側門前にある「丹治蓮生堂」は、80年を超えて続く和ろうそく専門店です。パラフィンのキャンドルなども流通する中で、ハゼの実を搾った天然素材の原料にこだわり、すべて手作りで作り上げています。丹治さんは、蓮生堂の屋号の店主としては3代目になります。

 東本願寺門前のいろんな光景をずっと見続けてきた丹治さんによると、かつて、東本願寺の門前は、「不明門通が広くて、烏丸通りは目立たないほどに狭かったん」だとか。その頃は、「90軒を超えるろうそく店があったん」だそうですが、灯としてのろうそくの需要が無くなっていく中、「寺院の仕事を専門にしてきたところが残った」と言います。

 七条商店街振興組合の理事長も務める丹治さんにさらにお聞きすると、「最初は、やはり本願寺さんの門前ということで、骨董品や仏教道具や仏壇店、ろうそく、線香の店などが多かった。途中、寺町に移動するまでは、洋服屋さん、仕立て屋さんが増えていった時代もあったわなあ。年末には職人さんたちがスーツを買って田舎に帰る光景も見られた」のだとか。

 「最近は新型コロナもあったけど、商店街も地域でも、いろんな人の顔が見えなくなってきた。リーダー不足や思う。ものを少しわかった若い人たちが動かないと変わらない。全部ボランティアでは後まで続かないから、もう少し資金が回るようにすることも大事なことやと思うし、誰でもできるように仕組みを創っておいてあげようと思う」と話す丹治さん。

 「東本願寺や七条通周辺も門前プロジェクトを始め、様々なプロジェクトができだしているのは良いことやと思う。つながりを保っていくことだけは財産にしないと次の世代へつながっていかんからな。京都駅周辺の活性化を願う新しい人たちも受け入れて、みんなで盛り上げていけたらと思う」と語ってくださいました。

 丹治さんは、「若い人たちに日本の伝統文化の良さを知ってもらいたい」と、中学生の修学旅行で、ろうそくづくり見学も積極的に受け入れています。玄関を入ると猫店長も出迎えてくれますよ。

伝統工芸 京和蝋燭・薫香専門店 丹治蓮生堂  京都市下京区中居町114 075-361-0937

地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 「YAHOO!ニュース ベストエキスパート2024 地域クリエーター部門 特別賞」を受賞 京都をこよなく愛する地域ニュースサイト号外NETの京都市担当タウンクライヤ―です。四国から大阪の元地方紙記者。観光ガイドをしながら京都時空観光案内2024(観光ガイドのための京都案内マニュアル)全19巻や「やさぐれ坊主京を創る 前田玄以の生涯」(京都文学賞一次審査通過)はじめ、京都を題材にした小説なども執筆しています。

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