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香港で有名モデルのバラバラ殺人事件 逮捕されたのは元夫とその家族 金銭を巡るトラブルか?

中島恵ジャーナリスト
殺害されたモデルの蔡天鳳氏(中国の動画サイトより筆者によるスクリーンショット)

2月25日、香港警察は有名な女性モデルの蔡天鳳(アビー・チョイ Abby Choi)氏(28歳)の遺体を発見したと発表した。

報道によると、遺体は香港北部、大埔(タイポー)地区の龍尾村にある民家で、バラバラになった状態で、殺害に使ったとみられる食肉スライサー、電動ノコギリ、彼女が着ていた白い衣服、手袋などとともに発見された。

警察は殺人容疑でチョイ氏の元夫とその両親、兄を逮捕、取り調べを行っている。

犯人は元夫の家族か

香港の報道によると、チョイ氏は21日午後、娘を学校に迎えに行く途中で行方不明になり、家族が捜索願いを出していた。その後、警察により発見された。

元夫の父親が、事件の数週間前にその民家を借りていることが捜査によりわかっており、計画的な犯行ではないかとみられている。元夫(28歳)は無職、元夫の父親は香港の警察官だったが、十数年前に辞職している。

遺体が発見された現場付近(中国の動画サイトより)
遺体が発見された現場付近(中国の動画サイトより)

殺人の理由として報道されているのは、元夫の家族との不動産を巡る金銭トラブルだ。

チョイ氏は18歳のときに元夫と結婚。2人の子どもを出産後、離婚したが、離婚後も一家の生活を支えており、一家は九龍(カオルーン)地区の高級住宅地、加多利山(カドリーヒル)に住んでいた。

しかし、チョイ氏は2018年、麺料理で有名な飲食チェーンの『譚仔米線』(タムジャイミーシン)の創業者の息子と再婚した。

昨年末、チョイ氏はカドリーヒルの豪邸を売りに出すことを決意。元夫の一家には別の家を用意していたが、6800万香港ドル(約11億5600万円)ともいわれるその豪邸を手放そうとしたことに、元夫の一家が激怒して、今回の犯行に至ったのではないかと言われている。

現地の追加報道(※)によれば、チョイ氏と現在の夫は内縁の関係で入籍していなかった。元夫の家族(首謀者は元夫の父親と言われている)は、チョイ氏を殺害すれば、チョイ氏の財産は元夫との間の子どもに入ると思ったようだ(※28日、追記)

有名ファッション誌などで活躍

チョイ氏の両親は中国でビジネスを行う富裕層。チョイ氏は香港生まれ香港育ちで、モデル、インフルエンサーとして活動していた。

彼女のインスタグラムには約10万人のフォロワーがいて、香港の有名俳優、郭富城(アーロン・クオック)の妻などと親交があったほか、多数の芸能人、企業経営者らと交流があった。

また、フランス・パリのファッションショーに出演したり、高級ファッション誌の表紙を飾ったりするなど国際的にも活躍していた。

資産は1億香港ドル(約17億円)以上あると言われている。

現地では、美人モデルのあまりにも猟奇的なバラバラ殺人事件として、連日センセーショナルに報じられており、とくに殺害現場となった村の住民は精神不安を訴えている。

ジャーナリスト

なかじま・けい ジャーナリスト。著書は最新刊から順に「日本のなかの中国」「中国人が日本を買う理由」「いま中国人は中国をこう見る」(日経プレミア)、「中国人のお金の使い道」(PHP新書)、「中国人は見ている。」「日本の『中国人』社会」「なぜ中国人は財布を持たないのか」「中国人の誤解 日本人の誤解」「中国人エリートは日本人をこう見る」(以上、日経プレミア)、「なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?」「中国人エリートは日本をめざす」(以上、中央公論新社)、「『爆買い』後、彼らはどこに向かうのか」「中国人富裕層はなぜ『日本の老舗』が好きなのか」(以上、プレジデント社)など多数。主に中国を取材。

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