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クルマの認証試験不正とは何だったのか。現時点で分かったこと #専門家のまとめ

高根英幸自動車ジャーナリスト
クルマの生産は規制に厳格であるべきだが…(写真:イメージマート)

6月初旬、国内自動車メーカーなど5社が、クルマの登録で必要な型式指定を取得するための認証試験で不正を行っていたことが、社内調査で明らかになった。当初は不正という言葉が強調され、自動車メーカーは謝罪に追われると共に安全性には問題ないと釈明した。これまでの経緯で分かったことをまとめてみた。

ココがポイント

▼自動車メーカーの社内調査で認証試験への不正発覚。国交相の担当者は日本や国際基準を変えたいならトヨタが働きかけすべきと語る

・愛車の「トヨタ」乗って大丈夫?国交省に聞いてみた(毎日新聞)

▼ダイハツの不正が発端で、自動車メーカーの信頼は大きく揺らいだ。都合のいい法解釈により生産停止になった車種もある

・「トヨタよ、お前もか!」相次ぐ不正、豊田章男会長ら「ルール見直し」提起の必然(ダイヤモンドオンライン)

▼マスメディアは当初「不正」という言葉で、いかにも自動車メーカー側に責任があるよう印象操作していた疑いもあった

・自動車の認証不正 トヨタ本体など5社でも発覚 海外で日本ブランド失墜か(サンデー毎日×週刊エコノミスト)

▼組織不正のプロの解説で根本原因を理解。合理性を追求した結果の悪意のない不正は防ぐことは難しい

・なぜ豊田章男氏は「不正撲滅は無理だと思う」と語ったのか…「組織不正」の研究者が見た認証不正問題の根本原因(プレジデントオンライン)

エキスパートの補足・見解

クルマの改革は100年に1度の大変動期と言われている。そんな中で、国交相は自分たちの仕事を全うすればいいのか、自動車メーカーと共に国を挙げて海外市場でも競争力を高めるためのサポートを行うのか、今回の認証不正で問われている印象がある。

それと開発の現場と経営陣との関係が一方的になっていることも不正の温床となっている可能性が高い。無理な要求、コスト削減やスケジュール厳守などで現場が犠牲になるだけでなく合理的手段として選んだ方法が結果として不正と認定されるのであれば、企業としての体制や法規制自体に問題があることになる。

実態に沿った法規制や現場に無理を強いることのない体制作りをしなければ、問題は解決せず、繰り返し起こることになるだけだ。今回に限って言えば不正はユーザーを裏切ったものではなく、単に定められている条件で認証のための試験をしていなかっただけに過ぎない。役人の面子で杓子定規に規制を守らせるのではなく、日本の自動車産業、日本の自動車ユーザーのために何が必要か、考える機会になったのではないだろうか。

自動車ジャーナリスト

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。芝浦工業大学機械工学部卒。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、様々なクルマの試乗、レース参戦を経験。現在は自動車情報サイトEFFECT(https://www.effectcars.com)を主宰するほか、ベストカー、クラシックミニマガジンのほか、ベストカーWeb、ITmediaビジネスオンラインなどに寄稿中。最新著作は「きちんと知りたい!電気自動車用パワーユニットの必須知識」。

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