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民間人校長に「責任を持て、辞めるな」と圧力をかけるブラック企業的思考回路の人たち

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

大阪市の小学校の民間人校長が就任から3ヶ月で辞めることに対して「辞めるな」とか「謝罪しろ」とか言ってる人を見かけますが、べつに辞めても良いでしょう? 校長だから辞めるなとか、そんなのただのブラックですよ。

報道によると、辞職した民間人校長は「英語教育に力を入れたいとアピールした」のに基礎学力向上を目的とした学校に配属され、給与も経歴に関係なく最低級だったことが不満だったそうです。

給料最低・小規模校…民間人校長、謝罪なき退職 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)(2013年6月26日)

希望の部署に配属されなかった。給料が安い。辞める理由としては、ごく普通のことです。違うのは、職業がサラリーマンじゃなくて校長だということ。

じゃあ、校長って辞めちゃいけないんですか?

大事なのは雇用のミスマッチを減らすこと

そんなことはないですよね。望まない仕事をやらせるのは本人の精神衛生上よろしくないですし、そんな人から教育を受ける子どもたちも可哀想です。辞めたい人には辞めて貰いましょう。

大事なことは、こういったことが次に起きないようにするためにはどうしたら良いかを考えることです。退職者が出たから「退職者が出たじゃないか! 責任を取れ! 謝罪しろ!」ではないと思います。そんなこと言ってたら新入社員担当の人事の人はみんな辞めなきゃいけない。

やるべきことは責任の追及ではなく、採用過程で同意したと思われる給与と実際の給与にどのくらいの隔たりがあったのか、「英語教育に力を入れたいとアピールした」人をなぜ基礎学力の向上を目的とした学校に赴任させたのかといった、退職の原因となった問題点の洗い出しとその是正です。

今の「退職者が出た! はい橋下市長肝いりの公募校長失敗!」の報道姿勢を見てると、ホント日本って失敗が許されない国ですねぇという感想しか出てきません。とくに「橋下市長主導でアラがあればなんでも叩いてやる」的な橋下市長憎しの行動は底が浅いというか、もはや報道というよりバラエティに近いです。

教育に理想を求めるのは自由ですが、入って3ヶ月で辞めるとか普通に起きるのが子どもたちが飛び出していく社会であり、現実です。

退職を批判している人たちは、将来自分の子どもにワタミで笑顔でバイトし続けて貰いたいのでしょうか。イヤー、ソレハ素晴ラシイ世界デスネ(棒)。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。スマホ、ネットの話題や炎上などが専門。ファクトチェック団体『インファクト』編集員としてデマの検証も行っています。最近はYouTubeでの活動も。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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