女性や子どもに ”共感すればよい” とは限らない!? その理由を心理カウンセラーが徹底解説
女性や子どもに対して「共感するとよい」という話を聞いたことがある人は、多いかと思います。しかしながら、共感をしているにも関わらず、かえって怒らせてしまったという経験もあるのではないでしょうか。有効な共感のしかたや、勘違いしやすい要因を考えてみましょう。
共感が有効なのは、同じ境遇の場合に限る?
そもそも、なぜ女性に「共感するとよい」という認識が広まったのかというと、男性と女性で思考が違うというところからきているように思います。よく言われているのは、男性は論理的な思考であり、解決策を出そうとする。それに対し、女性は情緒的であり、共感を重視すると。しかし、これはあくまでも統計的にという話であり、すべての人にあてはまるとは限らないのではないでしょうか。
共感を重視するというよりは、自分の考えを否定せず受容してほしいという思いが強いように思います。そのため、解決策を求める男性脳とは少しタイプが合わないのです。「だから、共感して歩みよればいいんでしょ?」と思った人もいるかもしれません。ただ共感すればよいというわけではなく、同じ境遇でないとその共感は有効とはいえないでしょう。
例えば、あなたが仕事で大きなミスをしたとします。そこに、同期の仕事ができて実家も裕福で、誰からも愛されているような人に「たまには、そういうこともあるよ」と励まされたらどう思うでしょうか。また、同じプロジェクトに携わってもいない人に「ドンマイ!」と言われたら、どう感じるでしょうか。「別に気にしない」という人もいれば、「お前には言われたくないわ」などと感じた人もいるでしょう。
いつも仕事で家にいないパートナーに、家事や育児のことを相談したとして、「たまには手をぬけば?」と解決策を出されては、共感が得られないのは明らかですね。そもそも同じ境遇にいない人に相談するのが、間違いなのでしょうか。「理解してほしい」という気持ちに気づくことが大切なのではないでしょうか。
また、子どもに対して「共感するとよい」というのは、自己肯定感を高めるために「子どもをありのまま受け入れる」「子どもの考えを否定しない」などの考えが共感することにつながっているように思います。確かに、共感することで「わかってくれた」と子どもは実感できますが、親がその考えに同意していないのに共感するのは、矛盾が生じてくるとは思いませんか。例えば、お子さんが嫌いな料理が乗ったお皿をひっくり返し「食べない!」と言ったときに、「嫌いなのはわかるけど、皿をひっくり返すのはやめてよ」と思いますよね。嫌いなことに共感したうえで、「この行動はよくなかった」「困るからやめてほしい」など、他者の気持ちを理解することは共感と同じくらい大切なのではないでしょうか。
共感は最初の1回だけ、次からは行動あるのみ?
「いつも大変だよね」と労ったところで、パートナーの機嫌がよくならないのは、同じ境遇にいないため、共感を得られないということがわかったことと思います。同じ状況を自分も経験したところで、初めて共感が得られるのです。また、女性はとても現実的なところがあるので、言葉よりも態度や行動で示してほしいのです。
休みの日に、自分も1人で家事と育児をやってみる。実際に体験することで、相手の状況を理解できるのではないでしょうか。相手と同じ状況を自分が経験したうえで感謝を伝えることが、本当の意味での『共感』なのかもしれません。
子どもに対しても同じです。子どもが「一緒に遊ぼう!」と言っているのに、「また今度ね」というのが何度も続けば、子どもはそのうち期待しなくなるでしょう。行動があってこその信頼関係なのです。行動がなければ、「どうせまた口だけでしょ」と期待されなくなり、その関係を修復するためには行動で示すしかありません。
さいごに
子どもも女性も「ただ話を聞いてほしい」というときがあり、そのときは真剣に耳を傾け、相手が何を求めているかを探ることが大切です。喜びや不安などの感情を共有したい、状況を理解してほしいなど、隠れた本心が見えてくることでしょう。言葉で感謝などを伝えるのと同様に、行動で示すことで良い関係性の構築につながります。