【京都市東山区】今が旬の海老芋と棒だらの魅力を心ゆくまで堪能 300年続く一子相伝の味 いもぼうへ!
型崩れしていない大きな楕円の芋に箸を通すと、そのまますっと入り込むほど柔らかい。一口含んでみると、一緒に煮込んだ棒鱈の味も一緒になった出汁がしみこんでまさに究極の味! これにはさすがに筆者も舌を巻きました。そんな河内産の海老芋がたっぷり堪能できる店が、円山公園にある超有名店「いもぼう平野屋本家」です。
寒さも一層厳しさを増した2022年12月17日、旬の海老芋が美味しく食べたいと奮発して同店を訪れました。女将の北村明美さんにお話を伺いました。
いもぼうの先祖は享保の昔、粟田青蓮院に仕えていました、平野権太夫といい、御用の傍ら御料菊園、蔬菜の栽培にたずさわっていたそうです。或年青蓮院宮が九州行脚の折りに持ち帰った唐の芋が円山麓の地味にかない、見事な海老によく似た芋が出来たので是れを海老芋と名づけました。
周りに海が無い京洛で珍重されていた乾物の棒鱈を、海老芋と抱き合わせて炊き上げ、独自の調理法を生み出したものが、食通の礼讃されるところになったのだと言います。以来、平野家の屋号を青蓮院宮に下賜され商いを始めたのが、現在の京名物「いもぼう」なのだそうです。
自然に染み出る膠質(にかわしつ)を利用して、固さの違う棒鱈と海老芋を同時に炊き上げるその匠の技は、認められた子息だけに一子相伝で口伝されます。必ずしも長男に引き継がれるわけではないのだそう。現在は、14代当主北村真純さんから15代若主人北村晉一さんへ引き継がれています。
祇園円山から清水にかけての界隈は総称して八坂と云い、東山芸術の生まれた山紫水明の中枢地帯として文人墨客に親しまれました。円山応挙、頼山陽、大雅堂、蓮月尼、富岡鉄斉、川端康成、松本清張なども同店を訪れました。
月御膳、雪御膳、いもぼう湯豆腐セット、いもぼうコロッケ御膳など、メニューも充実しています。無病息災を表す瓢箪をモチーフに、緑したたる円山公園を臨む風雅な座敷でたまにはリッチに贅を堪能して見ませんか!
「いもぼう平野屋本家」(外部リンク)京都市東山区祇園町北側362 円山公園内知恩院南門前
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