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韓国女子ゴルフ界の“隠れた実力者” 米ツアー招待選手ながらプレーオフ2位の22歳ソン・ユジンって誰?

金明昱スポーツライター
米女子ツアーのロッテ選手権で2位のソン・ユジン(写真・KLPGA)

 米女子ゴルフツアーのロッテ選手権(4月12~15日)で、見慣れない韓国選手の名がスコアボードに現れた。名前はソン・ユジン。最終日を4バーディ、1ボギーの69で回り、通算12アンダーでプレーオフへと進んだが、勝ち切ることができずに2位タイで大会を終えた。

 試合後は「プレーオフまで進むことができて光栄です。バーディを取らないと勝てないと分かっていたので、最大限に攻撃的にプレーしました。私のゴルフ人生で本当にいい経験になりました。また機会があれば必ず優勝したい」と語っていた。

 “突如として現れた韓国ツアーの選手”の印象が強いが、彼女は昨年の韓国女子ツアー「ロッテ女子オープン」でツアー初優勝を果たして、同大会の出場権を得ており、韓国内では若き実力者として知られている。

 2000年5月生まれの22歳。アマチュア時代はナショナルチームにも選ばれ、2018年にプロ転向し、翌19年から韓国女子ツアーに参戦。コンスタントにシードを獲得し、昨季は悲願のツアー初優勝を果たした。ドライバーの平均飛距離は約240ヤードで、ドライバーやアイアンショットは精度が高く、アプローチやパターの小技もうまい。どれも安定したスタッツを残しているのが特徴で、今季で5年目のシーズンを迎えている。 

 ソン・ユジンの目標は「米女子ツアー進出」。そのため今大会で優勝して、米ツアーメンバーの資格を得ることを最大のチャンスと捉えていたという。そのための対策も徹底していたという。その一つがウェッジのセッティングを変えたこと。

 韓国経済紙「毎日経済」によると「元々、ウェッジのセッティングは48度、52度、56度だったが、今大会は50度、54度、58度にして試合に挑んでいた」と報じている。その他にも様々な準備をほどこしてきたようだが、いずれにしても「ただ出場して帰国する」のではなく、覚悟を決めて挑んだ大会だった。

 仮に招待選手のソン・ユジンが優勝していれば、2013年のカナディアン女子オープンで優勝した当時アマチュアのリディア・コ以来、10年ぶりの偉業となったが、惜しくも2位で大会を去ることになった。

 それでも「4日間、トップランカーのようにプレーしながら、たくさんのことを学びました」と語るソン・ユジン。米ツアーでも十分に戦える大きな自信を得られたようだ。

今季は韓国女子ツアーで複数回優勝ができるか(写真・KLPGA)
今季は韓国女子ツアーで複数回優勝ができるか(写真・KLPGA)

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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