選手会がキャンプ招待選手の金銭補償を実施へ! その裏に隠れたマイナー選手の待遇格差
【選手会が更なる金銭補償を明らかに】
米の複数メディアが現地時間の4月3日に報じたところでは、MLBの選手会が新たな金銭補償を行うプログラムを立ち上げることになった。
すでにMLBがマイナーリーグ選手と対し5月末まで週400ドル(約4万4000円)の金銭補償を発表しているが、それとは別途選手会が補償するものだ。
【対象は招待選手のみ】
ただし選手会のプログラムは、MLBのように全マイナーリーグ選手を対象にしたものではない。今シーズンのスプリングトレーニングに招待選手枠で参加し、最低でも1日のサービスタイム(MLB在籍期間)を得ているマイナー契約の選手たちに限られている。
MLBと選手会は今シーズンの運営方針で合意し、その一環としてシーズンが延期されている4、5月分の金銭補償として総額1億7000万ドル(約187億円)を選手側に支払うことが決定していたが、あくまで対象は出場ロースター入りしている選手に限られ招待選手は対象外になっていた。
メディアの報道によれば、300人以上の選手が今回の補償対象になるという。
【補償額は最大で550万円】
今回の補償は、スプリングトレーニングが中断された3月13日時点で、招待選手としてメジャーキャンプに残っていた選手たちで、選手会に申請すれば補償額を受けとることができる。
ちなみに田澤純一投手は招待選手としてレッズのキャンプに参加していたが、一部報道によれば3月11日に契約解除になったと報じており、その場合は対象外になってしまう。ただ米メディアでは4月2日なって田澤投手の契約解除を報じており、その場合はもちろん対象選手になってくる。
また同じく招待選手としてマーリンズのキャンプに参加していた加藤豪将選手は、過去に一度も出場ロースターに入ったことがないので、今回の補償の対象外になる。
補償内容は選手のサービスタイムに沿って5種類に分類され、それぞれ金額が変わる。額をみれば明らかなように、MLBが補償する額とは比べものにならないくらい高額になっている。
0~1年 : 5000ドル(約55万円)
1~2年 : 7500ドル(約83万円)
2~3年 : 1万5000ドル(約165万円)
3~5年 : 2万5000ドル(約275万円)
6年以上 : 5万ドル(約550万円)
ちなみにこの補償は、招待選手でありながら過去に高額年俸を得て金銭的な余裕のあるベテラン選手たちは辞退することもできるという。
【マイナーリーグ選手内にある待遇格差】
なぜ選手会のプログラムが招待選手枠だけのマイナーリーグ選手に限られたのかといえば、MLBの構造に起因するものだ。
実はMLBの選手会は、各チームと契約しているすべての選手が所属できるわけではない。あくまでメジャーリーグの公式戦に出場できる出場ロースターに入り、サービスタイムを受けた選手だけに限られているのだ。
つまりドラフト上位指名の選手でも入団時はマイナー契約のため選手会には入れず、メジャー初昇格してようやく選手会に所属できる。
逆に一度でも選手会に所属できれば、その後マイナーリーグに回っても引退まで選手会所属扱いになり、MLBと選手会の間で規定する統一労働規約でも、マイナー契約でも最低額保障など数々の優遇措置を受けることもできる。
マイナーリーグ選手たちが必死になってメジャー昇格を目指すのは、これほど大きな待遇格差があるからに他ならない。