パラスノースポーツが集合。ともにシーズン報告・平昌へスタート!
2016〜17シーズンを終えたパラリンピック・スキー、スノーボード・ジャパン・チーム選手のうちの9名とスタッフが、シーズンの報告と、9ヶ月後に迎える平昌パラリンピックに向けて抱負を述べる記者会見が6月8日午後、日本財団ビル(東京都港区)で行われた。
森井大輝らアルペン・チェアスキー世界トップの3人をはじめ、片足の三澤拓、ノルディックスキーのベテラン新田佳浩。そして、新しく加わったアルペン・スノーボード期待の星・成田緑夢(ぐりむ)、ソチパラリンピック(2014年)から急成長するチェアスキーの村岡桃佳など平昌で金メダルを狙う有力選手に記者たちの言葉がかけられた。
昨シーズンの収穫の一つは、平昌パラ開催地でのテストイベントで実際のコースを試せたことだった。ソチパラリンピックに続き、どうやら平昌も、残雪と高温という条件でのレースとなるようだ。ソチを経験した選手やスタッフは雪質・気象条件などパフォーマンスが出しづらいコンディションでのレースに覚悟をきめ今シーズンの練習を行っていた。
その成果はシーズン内に現れた。
ノルディック新田佳浩のワールドカップ(平昌プレ大会)クラシカル1位、そして、アルペン森井大輝のワールドカップ総合優勝である。
また、日本チーム初の「スノーボード」は、4年前の練習中の事故で負傷しパラリンピック・チームに加わった大阪出身の成田緑夢が国際大会で華やかな記録を残した。父はコーチ、兄(成田童夢)・姉(今井メロ)は共にオリンピック・スノーボーダーという家庭に育った成田はあらたな目標を掲げデビューを果たした。
金メダルへのこだわり
昨年9月、リオパラリンピックの結果「金メダルなし」をチリでの高地合宿中に聞いたというチェアスキーの世界トップの森井は「平昌では一つでも多くの金メダルを取りたい!」と思った。
また森井は「韓国のプレ大会で勝てことは来年に向けてよかった。あとは自分の滑りができるのみ。パラリンピックでまだ取れていない金メダル、どうしても欲しい!」と、充実した表情で話していた。
ノルディックスキーでバンクーバー(2010年)で2つの金、長野パラリンピック(1998年)からのベテラン・新田佳浩は、
「リオパラリンピックでの成績については、競技全体がレベルアップしたと思います。日本の障害者のスポーツは、2015年からがスポーツ庁の管轄となり、それまではパラリンピック日本代表であっても国の強化施設が使えなかった。メダルに繋がる体制はこれからだと思います」と、話していた。
JISS 国立スポーツ科学センターでのパラリンピック選手の体力測定が始まり、スキーのトレーニングも行なえるようになった。2020東京への環境の変化が平昌への強化にも確実につながっていると新田はみている。
「アルペンスキー」「ノルディックスキー」「アルペンスノーボード」を支える競技スタッフは、それぞれ、平昌へ向けた体制が整いつつあることを報告した。個人競技だが、パラリンピックに向け一丸となったチームであること、ともに戦っていく覚悟とその喜びが感じられた。
社会へのインパクト
また記者からの質問で選手たちは「パラリンピックがもたらす社会効果」についてもそれぞれ意見を述べていた。
アルペン・リーダーの森井は、「チェアスキーを始めて人生が変わりました。ぜひ、恐れずに、チェアスキーにチャレンジして欲しい!」と、語りかけた。
23歳のスノーボーダー成田は、
「僕は、4年前は健常者でしたが、パラ・スノーボードのレースをみて、ゴールギリギリでできた、できなかったという感動があったのを覚えています。パラリンピックで、パラアスリートとしてそんな感動を与えらたらと思います」と話してくれた。
北海道で広がるパラウィンタームーブメント!
今シーズンは、2年連続となるノルディックスキーのパラリンピックワールドカップが北海道(旭川・札幌)で行われた。今年はアジア大会後間もない札幌で、自治体や競技団体、大学などを巻き込み、パラウィンターを振興する機運が盛り上がった。長野パラリンピックに関わった経験から良いアイデアも生まれていた。
ホストチームを務めた新田佳浩は、平昌の次にくる東京パラリンピックに向けて、次のように話していた。
「東京パラの成功は、車椅子の利用者、障害を持った人が生きやすくなることだと思います。パラリンピック観戦をきっかけにした、さまざまな気づきが、東京や日本の(バリアフリーの)基盤になればと思う。まだまだ、障害のある選手を見たとか、パラスポーツを見たという人は6%程度。パラアスリート自ら共存していける社会を作り出していくことが大事だと思います」
2020東京パラリンピックへの注目が高まる中で、冬季種目への注目も高めるチャンスである。このようなスノースポーツが連携しての初めての記者会見となった。
<参考>