質問の仕方は「明石家さんまさん」に学べ!本音を引き出す質問スキル
人間には誰しも「本音」と「建前」があります。
すべてを本音で話されても、人間関係はギクシャクしてしまいますので、「建前」を使い分けることは、決して悪いことではありません。
しかし、営業担当者にとっては、少し事情が違います。お客様の「本音」は、営業にとって大切な財産です。通り一遍の会話よりも、さらに突っ込んだ質問でお客様の本音を聞き取り、ニーズに合わせた営業をしたいところです。
そこで、今回は「拡大質問」と「限定質問」を使い分けることで、お客様の本音をつかむ方法をお伝えします。
「質問」はお客様に良い提案をするためのもの
本題に入る前に、まず前提となる心がけたい事をお伝えします。
「お客様の本音を引き出すための質問」とはいっても、「質問スキルを駆使して商品を売り込むぞ」という意図が透けて見えてしまうと、お客様はスッと気持ちが引いてしまいます。
売上のためだけに繰り出される質問では、質問を受けている方も「まるで尋問されているようだ」と感じ、心の扉がバタンと閉じてしまうのです。
営業からお客様への質問とは、「お客様にとって良い提案をするための情報を得る」ことが目的である、という基本マインドを忘れないようにしたいですね。
質問には「拡大質問」と「限定質問」がある
では、「より良い提案のための質問」とは、どのようにしたらいいのでしょうか。
優秀な営業は、質問を通してお客様について深く知ろうとします。お客様のニーズを理解して提案を行うからこそ、売上に結びつくのです。
そこで有効なのが、2種類の質問話法です。知らず知らずのうちに、私たちは2種類を使い分けているのですが、それは次の「拡大質問」と「限定質問」です。それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
拡大質問…具体的に相手が考えて答える質問
たとえば、「何をお探しですか」「これについてどう思いますか」といったように、お客様が考えて答えを出す質問です。「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「なぜ」「どのように」と質問することで、相手から自由な回答を引き出します。
限定質問…「はい」or「いいえ」などのように2択で答える質問
たとえば、「午前と午後ではどちらがよろしいですか」「ジャケットをお探しですか」「明日は会社にいらっしゃいますか」などのように、考えることなくすぐに答えられる質問です。
明石家さんまさんに学ぶ、質問の使い分け方
営業の場面では、「拡大質問」と「限定質問」を使い分けて話を聞いていきます。
最初に「限定質問」から入ってしまうと、自由に話を広げることができないので、ニーズを聞き出す場面では、まずは「拡大質問」から始め、信頼関係を築きましょう。
とはいえ、「御社は現状にどのような課題を感じていらっしゃいますか?」など、あまりにも漠然とした「拡大質問」では、お客様が答えづらいことがあります。そんな時は「経験者の採用に課題を感じていらっしゃいますか?」など、「限定質問」に切り替えて、回答を促しましょう。
営業によっては「お客様が答えづらそうだ」と感じると、そこで引いてしまい、本当のニーズを引き出せないケースがあるのです。
テレビを見ていると、明石家さんまさんが女性アナウンサーに「何人くらいに今までプロポーズされたの?」と尋ねている場面がありました。これは、ストレートな「拡大質問」です。
女性アナウンサーははっきり答えず、「うーん、何人かなー」と考えるように濁しました。そこで、明石家さんまさんは間髪を入れず、「3人くらい?」と追加で質問を重ねます。これは「限定質問」です。
女性アナウンサーは、そこでついつい「もう少し多いです」と答えました。はっきり何人とは明言しなかったものの、「3人より多い」という情報を引き出すことができたのです。
本音を引き出すには、やはり「質問」です。
営業をしていると、「予算はどのくらいですか?」という質問に、「いや、決まってなくて…」と濁されたり、本当は10万円なのに「5万円くらいかな」と少なめに申告される場面があります。
踏み込めない営業だと、「そうですか」と、引き下がってしまうことでしょう。
しかし、そこで本音を引き出したい営業なら、「10万円くらいですか?」と予想される金額を限定質問で尋ねます。そうすると、お客様は「いやいや、そこまではなかなか…」と答えるか、もしくは「そうだね、それくらいかな」などと反応を返してくれることでしょう。その反応からおおよその予算を読み取って、商談を進めていくのです。この時、言葉だけでなく、目線や表情などにも気をつけて本音を推しはかりましょう。
まとめ
「保険を切り替えませんか?」「そろそろ車を買い替えませんか?」など、最初から限定質問をすると、お客様は「まだ検討段階なのに、売り込まれてしまう…」と心をシャットダウンしてしまうことでしょう。
最初の質問は拡大質問で、大まかな話から始めましょう。心を開いてもらえるように、穏やかに話を進め、徐々に本音を聞き出すようにしたいものです。
研修トレーナー太田 章代
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太田章代の『ビジネスコミュニケーション術』