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トルコのエルドアン首相の好感度

高橋和夫国際政治学者/先端技術安全保障研究所会長

イスタンブールのタクシム広場で始まったデモがトルコ各地に広がっている。少なくとも一部のデモ参加者の要求の一つがエルドアン首相の辞任である。

この政治家は、それほど国民に嫌われているのだろうか。エルドアンは、かつてはデモの震源地であるイスタンブールの市長を務めた。任期中に、宗教的な発言でトルコ共和国の世俗主義の原則に触れたとして軍部に刑務所に送られている。出獄後に公正発展党の指導者として過去三度の総選挙で勝利を収めた。選挙で勝っているからには、この人物に人気がないわけはない。どうなっているのだろうか。

という疑問に答えるようなエルドアンの人気に関する世論調査がアメリカのピュー研究所から発表された。

6月5日に公表された調査によれば、トルコ国民の62パーセントはエルドアンを好意的に見ている。調査は今年3月に実施されている。昨年の調査でエルドアン首相の率いる与党の公正発展党への支持率が59パーセントであったので、昨年から大きく変化していないという事であろう。この広範な支持基盤を背景にエルドアンは、前述のように選挙に勝ち続けている。現在の議会の定数の550議席のうちの326議席を与党が占めている。

ただトルコ最大の都市のイスタンブールでは、その支持率は高くない。エルドアンの支持率は46パーセントに過ぎず、逆に不支持率が54パーセントと支持率を上回っている。ここでは支持率が、全国平均より16パーセントも低いわけだ。

エルドアンに対する好感度と強く関連しているのは、調査の対象となった個人の宗教的な実践のようである。イスラム教徒の場合には、信徒の義務である日に五回の礼拝を欠かさない層ではエルドアンに対する好感度は、75パーセントに達する。逆に、この層でエルドアンが嫌いなのは24パーセントに過ぎない。

祈る回数が週に一回以内の層でも、エルドアン支持は66パーセントと少し低下するだけである。逆に不支持は30パーセントまで上昇する。そして、めったに祈らないという層になると支持率は36パーセントまで落ち込む。逆に不支持は60パーセントまで高まる。とりあえず祈る人々の間ではエルドアン支持者が多いようだ。

調査は、3月上旬にトルコ全土の26箇所で18歳以上の千人に対面方式で行われた。

2013年6月10日(月)記

国際政治学者/先端技術安全保障研究所会長

国際情勢をわかる言葉で、まず自分自身に語りたいと思っています。北九州で生まれ育ち、大阪とニューヨークで勉強し、クウェートでの滞在経験もあります。アメリカで中東を研究した日本人という三つの視点を大切にしています。映像メディアに深い不信感を抱きながらも、放送大学ではテレビで講義をするという矛盾した存在です。及ばないながらも努力を続け、その過程を読者の皆様と共有できればと希求しています。

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