節分の豆、5歳以下の子には食べさせないで! 豆まきに潜むリスク
1月28日、消費者庁は公式Twitterアカウントで、
「豆やナッツ類は、5歳以下の子どもには食べさせないでください」
と呼びかけました。
また公式サイトでも、
「もうすぐ節分です。豆まきをする御家庭もあると思いますが、小さな子どもがいる場合は注意が必要です」
「硬くてかみ砕く必要のある豆やナッツ類などを、のどや気管に詰まらせて窒息したり、小さなかけらが気管に入り込んで肺炎や気管支炎を起こしたりするリスクがあります」
と啓発するとともに、公式YouTubeアカウントでも、「食品による子どもの窒息・誤嚥(ごえん)事故に注意!」のタイトルで、分かりやすい動画をアップしました。
(※誤嚥:食べた物が食道ではなく気管の方に入ってしまうこと)
例年この時期になると、消費者庁をはじめ、各種の医療機関や公的機関が、窒息・誤嚥リスクについて何度も注意喚起を繰り返します。
なぜなら我が国には、「2月3日に豆をまく」という特殊な習慣があるからです。
そして、これだけの注意喚起が繰り返されても、悲惨な事故は後を絶たないからです。
2020年には、松江市の保育施設で、節分の豆まき行事の際に4歳児が豆をのどに詰まらせて窒息死するという事故がありました。
2005~2006年、2014~2015年の2回の調査では、異物を吸い込んで気道につまらせる事故のうち、3歳未満が7割を占めていました(1,2)。そして、食べ物が原因となった事故のうち、7割以上が豆やナッツ類でした(2)。
また、厚生労働省の調査では、平成26年から令和元年までの6年間に、食品による窒息で14歳以下の子どもが80人死亡しています。そのうち、9割は5歳以下です。
歯が生えそろっておらず、飲み込む力も未熟な幼児は、食べ物がのどに詰まったり、気管に入ったりするリスクが高いのです。
特に豆類は、水を含むと徐々に膨張すること、油分が溶け出して炎症を起こし、これが気管支炎や肺炎の原因になることなどから、より危険な食べ物と認識されています。
以上のことを考えると、「小さな子どものいる環境で大量の豆をまく」という行為は危険そのものです。
消費者庁は、
「豆まきは個包装されたものを使うなどの工夫を」
と呼びかけています。
個包装された商品であれば、窒息・誤嚥の心配はありません。
子どもたちの楽しみを奪わないために大人の私たちができるのは、「伝統を大切にすること」と、「健康上のリスクを避けること」の両立を目指す工夫です。
(1) 日本小児呼吸器学会 気道異物事故予防ワーキンググループ「小児の気道異物事故予防ならびに対応」
(2) 小児耳 2018; 39: 219-222