ANA、日本初のワクチン職域接種をスタート。7月末までにパイロット・客室乗務員の1回目接種を目指す
ANAグループでは職域接種を政府が当初予定していた6月21日開始という日程を早め、6月13日(日)から羽田空港で開始した。初日の接種は約50名で午前11時から開始した。モデルナ製のワクチンを接種する。日本で初めての職域接種となった。
まずはパイロット、客室乗務員の約1万人が早期接種へ
ANAによると接種対象者はANAグループ会社社員の約4万6500人(契約社員を含む)で、最初に国際線で業務をする運航乗務員(パイロット)と客室乗務員の合計1万人よりスタートとし、接種状況を見ながら国際線接客業務(グランドスタッフなど)を担う社員などに順次拡大していく予定とのことだ。
1日あたり300名が接種できる体制を構築へ。接種したパイロット「安心して国際線の乗務に就ける」
接種体制については、産業医及び提携する医療機関による体制で、1日あたり医師1名と看護師または保健師3名、その他にスタッフ5名程度の体制を構築し、1日あたりの接種人数を今後、300人まで拡大することを予定している。6月21日には300名体制となる予定で、パイロットと客室乗務員の接種(希望者について)は、勤務の都合によっても変化するが、目安として7月末までに1回目の接種が受けられることを目指す。
接種を受けたANAの国際線をフライトする運航乗務員(パイロット)の江畑拓也機長は「少しこれで安心して国際線の乗務に就けると思います。引き続き、感染予防策については気を緩めずにしていきたい」、客室乗務員の小沢ちあきさんは「(ワクチン接種について)安堵しております。これに甘んじず、日頃からの感染しない、感染させないを更に気を引き締めたい」と話した。
職場接種を拡大することでワクチン接種率向上に貢献したい
取材に応じたANA平澤寿一企画室長(上席執行役員)は「ANAグループでは、海外へ渡航する乗務員、空港で国際線のお客様をお出迎えする係員などを念頭に早期にワクチンを接種させたいという思いで準備を進めてきた。ワクチンの職域接種が決定して以降、急ピッチで準備を進め、明日(14日)から職域接種を本格的に開始できる準備が整ったが、(先行して)今日(13日)から小規模で接種を開始した。国際線に乗務する運航乗務員、客室乗務員に順次ワクチン接種を進めていくが、海外ではワクチン接種が進んでいる国から多くの地域で経済の回復が見られている。日本においても政府主導でワクチン接種が急ピッチで進んでおり、ANAでは職域接種を拡充することで、ワクチン接種率向上において大きく貢献できればと思っている」と話す。ワクチンが搬入されたのは11日(金)だったことを明らかにした。
パイロットは接種後48時間は乗務しない規定に
また、職域接種の準備を担当したANAの山口忠克企画室イノベーション・KAIZEN部長は、シフト面の工夫について「決められた期間で2回目を打たなければならないなかで、(運航乗務員や客室乗務員の)勤務を見ながら2回目を接種していくのかを考える。勤務を見ながら、接種可能なところを会社としてパイロットや客室乗務員に提示をしていく」という方針を明らかにした。パイロットについては、国土交通省から接種後48時間以内は乗務しないとの規定になっているそうだ。
職場接種と一般接種の両方を上手に活用することで社員の早期接種を目指す
平澤企画室長は、社員の接種について「(社員)全てが職域接種での接種ではなく、高齢者の接種が終わることで各自治体での通常接種も始まることから、(通常接種と)職域接種を上手く活用することで、1日も早く社員の接種が終わることを目標にしている」と話した。
東京オリンピック・パラリンピックが開催されることになれば、多くの外国人と接する可能性があり、職域接種を早い段階でスタートできたのは大きな意味がある。パイロットと客室乗務員の接種が終わり次第、空港で勤務するグランドスタッフへの職域接種も始まる予定となっている。