今オフFA市場で最も資金を使ったのはブルージェイズ!資金難と言われたヤンキースも5位に
【スポーツ専門サイトがFA選手獲得状況をランキング】
いよいよMLBもシーズン開幕に向け最終調整段階に入る中、スポーツ専門サイトの『the Score』が面白い記事を配信している。2020-21年オフのFA市場における各チームの獲得総額をランキングしたものだ。
今オフのFA市場は新型コロナウイルスの影響で、類を見ない停滞傾向にあった。例えば先発投手の中では上位ランクされていたジェイク・オドリッジ投手は、3月6日になってようやくアストロズ入りが決まる状況だ。
現在もジョシュ・レディック選手、ヤシエル・プイグ選手、エドウィン・エンカーナシオン選手などの実績ある選手が未契約のまま残されている。
今回のランキングを見てみると、FA選手獲得に動けたチームとそうでないチームの獲得総額の差は大きくかけ離れ、改めてチーム格差を浮き彫りしている。
【1位はブルージェイズでヤンキースも5位に】
まず獲得総額上位5チームをチェックすると、1位だったのは、ジョージ・スプリンガー選手ら6人のFA選手を獲得し、総額1億8625万ドルをつぎ込んだブルージェイズだった。
今オフは多くのチームが予算削減に動く中、オーナー企業が大手通信事業者で新型コロナウイルスの影響が少なかったブルージェイズと、オフにチーム売却が承認され潤沢な資金を有していたスティーブ・コーヘン新オーナー率いるメッツが、積極的補強に着手していた。
結局メッツらとの熾烈な獲得競争を制し、スプリンガー選手と6年総額1億5000万ドルの大型契約を結んだブルージェイズが1位になっている。
一方のメッツも、ジェームス・マッキャン選手をはじめ最多9人のFA選手を補強し、獲得総額1億1155万ドルで4位にランクしている。
興味深いのはヤンキースだ。田中将大投手との再契約を断念するなど例年のように潤沢な資金を有していなかったが、最終的に5人のFA選手を獲得し、5位に入っている。
またトレバー・バウアー投手を獲得したドジャース、JT・リアルミュート選手を獲得したフィリーズも、彼らに大型契約を用意したため上位にランクしている。
【ロッキーズはオフの獲得選手がゼロ】
次に下位5チームを見てみよう。この5チームに関しては、獲得総額が1000万ドルを割っている状況だ。
26位のダイヤモンドバックスでも、3人のFA選手獲得に使用した総額は、わずか750万ドルに止まり、最下位のロッキーズに至っては1人のFA選手も獲得していない。
特にパイレーツは、今オフに大幅な年俸総額削減を断行しており、現在の年俸総額は4600万ドルで、現時点でMLBトップの年俸総額を誇るドジャース(2億4800万ドル)の約18.5%でしかない。
リーグ内の競争力低下は、さらに深刻な状況になっている。
【積極補強してきたパドレスは15位】
だが新しい潮流も生まれ始めている。
メディアの間でブルージェイズ、メッツとともに今オフの補強に成功したとされるパドレスだが、FA市場に限っては3選手しか獲得しておらず、獲得総額も2520万ドルに止まり、リーグ15位でしかなかった。
その代わり他チームとの間でトレードを成立させ、ダルビッシュ有投手やブレイク・スネル投手らの獲得に成功。さらに将来を嘱望されたフェルナンド・タティスJr.選手と史上最長期間の契約延長を結ぶなど、FA市場以外で資金を回している。
実はダルビッシュ投手やスネル投手は、現在の複数年契約を結んでいた当初より評価が上がっている選手たちだ。年俸総額削減を余儀なくされたカブスやレイズでは高額年俸のため放出せざるを得なくなったが、確実に年俸額以上の活躍が期待できるというわけだ。
資金を有効活用する新たな補強策ともいえるものだ。