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ウクライナ軍「Mk19自動擲弾銃搭載したバギーカー」でロシア軍のドローン迎撃

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

2023年8月にウクライナ軍がロシア軍への攻撃やドローンの迎撃に使用しているバギーカーの動画が公開されていた。バギーカーにはアメリカ政府から提供されたMk19自動擲弾銃が搭載されていて、上空から攻撃してくるロシア軍の攻撃ドローンや地上のロシア軍に対する間接射撃での攻撃などに使用している。

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。2022年10月からロシア軍はミサイルとイラン政府が提供した標的に向かって突っ込んでいき爆発する、いわゆる神風ドローンの「シャハド136(Shahed136)」、「シャハド131(Shahed131)」で首都キーウを攻撃している。2023年8月の現在でもロシア軍によるイラン製軍事ドローンでの攻撃は全く止まっていない。

ウクライナ軍はロシア軍のイラン製軍事ドローンを迎撃するために、専用車「移動式ドローン迎撃車」を開発して、警報が鳴ると、標的付近まで専用車で向かっていき車の後方部に設置している機関銃や地対空ミサイルで迎撃して破壊する「移動式ドローン迎撃部隊」もつくってロシア軍の攻撃ドローンを迎撃している。またチェコなど諸外国からも「移動式ドローン迎撃車」が軍事支援として提供されている。

ロシア軍のドローンが近づいてきたというサイレンが鳴ると運転手が「移動式ドローン迎撃車」を運転してその場所へ向かい、車両の後方に設置した重機関銃を撃つ別の兵士が上空のドローンを迎撃している。迎撃車では入り込めないような森の中や道路が舗装されていない場所などでもバギーカーなら入っていくことができる。

機動性があるので上空からの攻撃を探知したら、すぐに迎撃したり逃げたりすることもできる。重機関銃には大量の弾丸があるが、大量の軍事ドローンでいっきに襲撃してきたり、ミサイルと軍事ドローンの両方で攻撃してきたり、上空からの攻撃をすぐに探知できずに逃げ遅れたりしたら非常に危険で常に命がけである。

このような移動式ドローン迎撃車やバギーカーがミサイルやドローンの標的にされることも多い。自動車と違ってバギーカーは運転席も囲われていないので自動車よりも襲撃された時の危険性は高い。またバギーカーは自動車よりも悪天候の日や夜など視界不良の時には上空の攻撃ドローンを探知して迎撃することは困難である。

▼Mk19自動擲弾銃を搭載したバギーカー

▼「移動式ドローン迎撃車」

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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