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週末「寝溜め」で脳心疾患リスクが減少。9万人データから明らかに【最新情報】。

黒澤恵(Kei Kurosawa)医学情報レポーター

「がん」(悪性新生物)が日本人最大の死因だというのはよく知られています。では次は?「心疾患」(心臓の病気)と「脳血管障害」(代表は脳卒中)です。

万国著作権条約にのっとり引用
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特に女性ではこれら二つを合わせると「がん」を上回ります。

万国著作権条約にのっとり引用
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このような脳心疾患の予防としては、運動や健康的な生活などが推奨されています。今回それに加え、「週末寝溜め」でもリスクが減る可能性が明らかになりました。

英国在住9万人のデータを解析した結果です。8月末に英国ロンドンで開催された欧州心臓病学会(ESC)という世界で最も規模の大きな心臓病の学術会議で、中国医学科学院阜外病院のヤンジュン・ソン氏たちが報告しました [ESC報道用資料] 。

英国在住9万人を14年間観察

解析対象となったのは、脳心疾患と診断されたことのない英国住民約9万人です(平均年齢56歳)。加速度センサーをつけてもらって睡眠時間を把握。その後およそ14年間観察を続け、その間の脳心疾患発症リスクが、観察開始時の週末睡眠時間に影響を受けるかどうか調べてみました。

週末睡眠時間は、各群に含まれる人数が同じになるよう4群に分けました。

すると最も短い群では平日よりも週末睡眠時間が約30分以上少なく(寝溜めしない)、逆に最も寝溜めする群では1時間半以上長くなっていました(最も長い人は16時間も!)。

週末「寝溜め」で脳心疾患リスクが19%減少

そして14年後、脳心疾患を起こしていたリスクは、「最も寝溜めする」群で「寝溜めしない」群に比べ、相対的に19%減少していました(0.81倍)。男女差はありません。

なおこの数字は、脳心疾患リスクに影響を与える、睡眠時間以外の因子による作用を統計学的に除去して算出されたものです(睡眠の影響だけを見ようとしている)。

平日に睡眠不足でなくとも「寝溜め」には期待できる

この研究の面白いところは、「睡眠不足」(恒常的に睡眠時間が1日7時間未満)だったのはこれら9万人中22%だけだった点です。つまり「睡眠不足」でなくとも、「週末寝溜め」で脳心疾患のリスクは減る可能性があるわけです。

もちろんこの研究だけでは、「週末寝溜めが脳心疾患を減らす」とは断言できません。「週末寝溜め」できる人たちに共通する何かが、脳心疾患のリスクを下げている可能性もあるからです。

でもソン氏たちは、「十分な週末寝溜めが脳心疾患リスクを減らす」と信じているようです。

さあ、これで大手を振って週末は寝坊できますよ!

寝溜めについては次のような論文紹介記事も書いています。こちらもぜひ、お読みください。今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。ではまた!

本記事は学会報告の紹介です。データの解釈は論者により異なる場合もあります。またこの論文の内容を否定する論文が存在する可能性も皆無ではありません。あくまでも「参考」としてご覧ください。

医学情報レポーター

医療従事者向け書籍の編集者、医師向け新聞の記者を経てフリーランスに。15年以上にわたり新聞社系媒体や医師向け専門誌、医療業界誌、会員向け情報誌などに寄稿。近年では医師向け書籍も共著で執筆。国会図書館収録記事数は3桁(含筆名)。日本医学ジャーナリスト協会会員。

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