公共料金などの定期的な支払い方法の移り変わりをさぐる(2021年公開版)
電気代やガス代のような公共料金の支払いをする場合、どのような決済手段を用いているだろうか。単身世帯と二人以上世帯それぞれの実情を、金融広報中央委員会の「知るぽると」が毎年実施している調査「家計の金融行動に関する世論調査」(※)の公開結果から確認する。
まずは二人以上世帯。日常生活における買い物ではなく、公共料金などの定期的な支払いでは、口座振替が主流となっている。ただしポイント制の恩恵(利用金額次第でポイントが加算され、ポイントが貯まると色々なサービスを受けられる仕組み)を受けるためと考えられるが、クレジットカードの利用が漸増している。2017年ではついに、クレジットカードの利用率が現金利用率を上回る形となり、その状況は2018年以降も続いている。
現金比率に大きな変化が無かったこと、口座振替の値が漸減していたことから、現金支払いをする対象はほぼそのまま、そして口座振替の手口が一部クレジットカード支払に切り替えられていたようだ。少しでも特典を得ようとする、賢い選択をしている動きなのだろう。
他方2020年ではキャッシュレス・ポイント還元事業と新型コロナウイルス流行で現金の値が大きく減り、その分クレジットカードが有意に増えている。政策や社会環境の変化が決済手段をも変えてしまうという動きの具体的な値として、注目すべき結果に違いない。
続いて単身世帯。公共料金などの定期的な支払いでは、口座振替が主流。ただし二人以上世帯と比べると、口座振替の利用者の減り方が大きく、クレジットカード利用者の増え方のペースが速いのが目に留まる。そして2013年にはついに両者の立ち位置が逆転した。
2014年以降は口座振替とクレジットカードの率がもみ合いを続けたが、2016年に差が広がる形でクレジットカードの率が上回った。直近の2020年では口座振替が大きく減少し、クレジットカードは多少の増加。一方で電子マネーが有意に増加しているのは気になるところ。クレジットカード利用の手続きが面倒、あるいはクレジットカードが使えない人が、口座振替から電子マネーなどにシフトしたのだろうか。
このようにクレジットカードの利用が増え、口座振替を超えるまでに成長しているのは、「個人のクレジットカード口座」と「家計全般の口座」が同じであり、それならば利用する金額が多いほど特典を得られるクレジットカードを使った方がよいとする判断の結果によるもの。
世帯構成員個人の私財を預かる「お財布」と、家族全体の家計をあずかる「お財布」が同じか別物か。ここに、単身世帯と二人以上世帯における、電子マネーやクレジットカードの利用傾向の違いが表れていることになる。
電子マネーにしてもクレジットカードにしても、有効な活用方法を実践できれば、お得な点も多い。いかにメリットを引き出せるか、単身世帯はもちろん二人以上世帯でも、色々と考えてみることをお勧めする。
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※家計の金融行動に関する世論調査
直近分となる2020年分は二人以上世帯においては、層化二段無作為抽出法で選ばれた、世帯主が20歳以上でかつ世帯員が2名以上の世帯に対し郵送式で、2020年8月7日から9月15日にかけて行われたもので、対象世帯数は8000世帯、有効回答率は25.7%。単身世帯においてはインターネットモニター調査で、世帯主が20歳以上70歳未満・単身で世帯を構成する人に対し、2020年8月21日から9月2日にかけて行われたもので、対象世帯数は2500世帯。過去の調査も同様の方式で行われているが、二人以上世帯では2019年分以前の調査は訪問と郵送の複合・選択式だった。
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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。