それ、危険かも!QRコードを悪用した、新手な「家賃振り込み先変更詐欺」には要注意!
筆者の住むマンションの郵便受けに「家賃の支払い先が変わりました」というお知らせが入っていました。確かに管理会社からの連絡になっています。しかし容易に信じることができません。
というのも、過去に管理会社を装い「家賃の振り込み先が変更された」として、別な振り込み先を記載した嘘のチラシを郵便ポストに投函して、お金をだまし取る手口がたびたび起きているからです。
「重要」の赤い文字、管理会社のロゴを入れる周到さ
この手口の怖さは被害者がだまされたことにすぐには気づかないことです。チラシは封書に入っていることが多く、そこには「重要」と書かれた赤いハンコも押され、管理会社などのロゴを入れてくることもあり、様々な信用させるための工作がなされています。
しかも、多くの住民が住むマンションの郵便受けに一斉にまかれており、不審に思った住民が管理会社に連絡をして詐欺とわかれば、口座が凍結されますが、その間に多くの人がお金を振り込んでしまうことになります。手口としては、多くの人の給料日である25日の数日前に投函される傾向があるように感じています。
筆者の場合は、本当に大家さんが亡くなられたことでの振り込み先の変更でしたので大丈夫でしたが、こうした手口は7年ほど前にも起きており、今もあまたの不正な銀行口座を犯罪グループが持っていることを考えると、今後も注意しなければなりません。
QRコードを読み込みませる、新たな家賃変更詐欺
昨年末より、SNSを使った新たな「家賃振り込み先変更詐欺」が起きています。
すでにこの詐欺でお金をだまし取った犯人は捕まっていますが、その手口は巧妙でした。
「家賃支払いをオンライン化する」 だまし取った現金をビットコインに変換して隠ぺいか 45歳の男を逮捕(中京テレビNEWS)
チラシには「家賃に関する重要なお知らせ」というタイトルがつけられて「次回から家賃の振り込みをオンライン化することに決定しました」と書かれており、QRコードが載っています。
つまり、このQRコードを読み込み、LINEなどに誘導し友達登録させて、ネット専用銀行などの振り込み先を伝えてくると思われます。
日常の利便性を突く巧みな手口
巧妙な点は、今や多くの企業がSNSを使っていますし、誰もがスマホを持っていて、QRコードを読み取ってアクセスするというのが当たり前になっていることを利用したことです。
筆者も、郵便局からの不在連絡票が郵便受けに入っていれば、それをQRコードで読み取り、LINEにて再配達を依頼しますのでとても便利です。まさにこうした日常の利便性につけ入ってきているといえます。
また過去の家賃振り込み先変更詐欺では、お金をだましとるために郵便受けに入れたチラシには銀行口座名を載せています。それゆえ、不審に思った住民の通報で詐欺だとバレてしまうと口座がすぐに凍結されてしまうので、効率があまりよくない面もありました。
しかしQRコードを読み取らせる形ですと、通信アプリで友達登録させるというワンステップをすでに踏ませており、家賃の振り込み先が本当に変更されたと信じ切った人だけに不正な口座を伝えられるので、そうそうに詐欺が発覚しないことになります。何よりこの手口では、正規の管理会社から「家賃が振り込まれていません」という連絡がくるまで詐欺に遭ったことに気づきませんので、詐欺発覚までに時間がかかり、同じ口座に多くの人からお金を振り込ませることもできます。もし一つの口座が凍結されても、別な口座を伝えることで、さらなる犯行も可能となります。
組織的詐欺の可能性も
今回、再逮捕された男性は60代男性から詐取した10万円ほどを暗号資産であるビットコインに換えて別の口座に送っていたということで、さらなる懸念が出てきました。
それは組織的なグループによる犯行の可能性です。
逮捕された男性は暗号資産で別な口座に送金していますので、当然、その先の暗号資産口座を開設した人物がいるはずで、闇バイトなどで募集されていることもありえます。とすれば、当然、その絵図をかいた指示役もいるはずです。
おそらくその先には、暗号資産を現金化するための別な銀行口座もあるでしょうから「報酬がもらえる」とだけいわれて、犯罪行為に加担していることに気づかずに送金に手を貸した人もいるかもしれません。
何よりこの手口が組織的グループによるものとすれば、この事件は氷山の一角の可能性があります。すでに家賃の振り込み先の変更をQRコードで読み込んでしまった覚えのある方は、すぐに管理会社などに確認するようにして下さい。