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成人式での「模擬投票」の意義は18歳選挙権時代ではなくなる。

原田謙介政治の若者離れを打破する活動を10年以上
今年の成人式の様子(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

成人年齢と選挙権年齢が共に20歳のラストイヤー

10日、11日とかけて全国の多くの年で成人式が行われたようで、新成人のみなさんおめでとうございます。

例年、成人式では新成人の方へ様々な啓発事業も行われます。お酒の飲み方。受動喫煙に関して。そして、選挙に行くことに関して。

選挙権年齢が18歳以上へと引き下げられることがきまっているわけで、成人年齢と選挙権年齢が20歳で共通なのはおそらく今年が最後でしょう。そのうち両方が18歳となることはいつかありえそうですが。

成人式での選挙啓発はなにがなされてきたのか

成人式での選挙啓発でよくあるものが「模擬投票」

入口に実際の選挙で使う投票箱と記載台を設置し、様々なテーマの争点の下に投票体験を新成人に行ってもらうというもの。

その自治体のゆるきゃらを投票したり、街の好きな場所を投票したり。

今年は国体で何の協議を応援したいか投票を行った自治体もあったようだ。

新成人が模擬投票 北上市 岩手国体を題材に|岩手日日新聞

これらの企画の意図としては新成人の人に「投票箱に票をいれるという”行為”の体験をしてもらう」ことにより、選挙に行くことを身近に感じてもらうということ。

このような企画に対して自分は昨年の成人式の際に、

これらの啓発が必要なのはわかるが、ずっと感じていた違和感としては、「新成人の政治的意識や投票意欲を高めるために本当に効果があるのか」ということだ。0ではないだろうがもっといいやり方がないのかなと思っている。

出典:Yahoo!個人の過去記事より

と書いた。

”行為”の体験の意義がどこにあるのかということである。

選挙権年齢が18歳以上へとさがり薄まる意義

さらに18歳選挙権時代の到来により2つの面でこのような啓発事業の意義は限りなく薄まることにある。

1'中高で模擬投票が当たり前のように行われるようになる。

すでに、動きが始まっているが18歳選挙権時代を前に学校現場での政治教育がどんどん行わるようになった。その中でも現在最もメジャーな手法が「模擬選挙」である。

成人式で行われているように、行政と連携して本物の投票箱や記載台などを使って行われるものが多い。

さらには、”行為”の体験にとどまらず”思考”の体験も行うものが多い。

色々な想定の選挙において実際に候補者を見比べ、悩みながら投票を行うというものである。

自分が代表を務めるNPO法人YouthCreateでも学校へ出前授業として出向き、模擬投票をよくおこなっている。

その際には、”行為”よりもむしろ”思考”の体験のほうを重視している。

また、自分も執筆に携わった、全高校生向けに配布をされている政治を学ぶ副読本(文科省・総務省作成)の中にも模擬選挙について掲載されている。

となるとすでに中高で行われていることを改めて成人式で行うことの意義はなくなる。

さらにいえば、成人式の盛り上がりの中で行うものよりも、授業として行うものの方が多くの学びを感じてもらう設計が可能である。

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すでに実際の選挙を体験した人も多数出てくる

18歳になってから、成人式までの2年間の間に実際の選挙を体験する人も当然かなりの割合ででてくることになる。

であれば、「模擬選挙」の意義はいまさらどこまであるのかということになる。

もちろん、若者の投票率を考えれば、選挙に行く機会があっても投票をしない人も多くいるであろう。そのような人に取ってみれば選挙の体験をすることにより、次の選挙へつながる可能性がなくはないが。

成人式で行う新たな啓発は何があるか

実際に選挙に行ったことがある、または行く機会はあった人が多く集まる場。

さらにいえば、多くの人は10代の間にすごした思い入れのある街の成人式に集う。

提案としては2つ

愛着のある街のことを改めて知ってもらう場に

国の状況や政治のことはなんとなく知っていても、自治体レベルのことにはなかなか目が行かないものである。普段のニュースで接することが少ないなどのいろいろな要因によるものだと思う。

例えば、自治体のこれまでの変化と、新成人の歩みをリンクさせて紹介するなんてどうだろう?

過去20年間の人口の変化だったり、大きな街の変化(駅前の再開発、公共施設の変化、若者政策・子育て政策の変化など)

そして、今後20年間の目指す街の姿なんかを、長期計画をもとに凄く簡単に紹介してみてもいいでしょう。

惜しむらくはすでにその自治体に住んでいない人も多くいるということだが、地域の政治に目を向けてもらうきっかけにはなるのかなと。

さらにいえば、「将来、この街に帰ってきて住もう」と思ってもらうことにもつながる。

実際に成人式の内容を投票で作る

選挙に行くのは自分の生活に関わることが変わる可能性があるから。

それだから真剣に考えるし、選挙にいく動機もおこるわけだ。

しかし、日本では10代の間に選挙で何か生活が大きく変わるという体験も基本的になく、さらには少子高齢化により「どうせ私たちの声は通らないや」と感じている若者も多い。

成人式の模擬投票を通して、実際に選挙で何かを変えることができるという政治的有効感覚を持ってもらうことができないか。

YouthCreateでは昨年、今年と2年続けて、拠点のある東京都中野区の成人式でそのような企画を行なっている。

昨年は、成人式内のコンテンツである、区長と新成人代表の対談のテーマを決める選挙。

成人式の主役は成人!成人が投票で区長の話を決める中野区(原田謙介) - Y!ニュース

今年は、新成人全員で取るときの横断幕のタイトルを決める選挙

Reading:成人式で模擬投票を体験 東京・中野区 NHKニュース

ほんの少しかもしれないが、「自分たちの投票で”行政”が動いた」と感じてもらえればなと。

どうせやるなら少しでも、新成人のみなさんに伝わるものになればと思います。

政治の若者離れを打破する活動を10年以上

1986年生まれ。岡山在住。愛媛県愛光高校、東京大学法学部卒。「学生団体ivote」創設。インターネット選挙運動解禁「OneVoiceCampaign」。NPO法人YouthCreate創設。「若者と政治をつなぐ」をコンセプトに活動。大学非常勤講師や各省有識者会議委員などとして活動を広げていく。18歳選挙権を実現し、1万人以上の中高生に主権者教育授業を行う。文科省・総務省作成「政治や選挙等に関する高校生向け副教材」の執筆者でもある。2019年参議院選挙・2021年衆議院選挙に立候補し敗れる。元岡山大学非常勤講師。元グローバルシェイパー東京代表。元中野区社会福祉評議会評議員

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